OHVエンジンのヘッドに付いているタペットという部品のクリアランス調整をDIYでやっていきます。このタペットは定期的に部品どうしのクリアランスを調整してあげなければ摩耗が大きくなったり音がカタカタとうるさくなります。
これまでは一度も実施して来なかったタペット調整。僕は滅多にショップに預けることはないのですが、預けたタイミングでも特に何も言われなかったですし、経験者に音を聞いてもらってもまぁ別に調整するほどでもないのでは?という反応でした。
なので言ってしまえば、そんなに高い頻度で調整する事項でもないのかもしれません。でも自分が所有してから5万キロ以上走ってるわけですし、本来は車検毎ぐらいに調整するものなのかもしれません。ロッカーカバーガスケットを交換するタイミングでは、ついでにタペットのクリアランス確認と調整をするのが良いと思います。逆に不必要にロッカーカバーを開け閉めするとガスケット(ゴムパッキン)が痛む可能性があるので、セットでやるのがオススメです。
この作業専用の工具は必要になりますが、でも工具さえ買ってしまえば作業自体は難しくないのでやっていきましょう。
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まずはロッカーカバーの取り外し。固定ボルトのゴムパッキンとガスケットは今回交換すべき状態。
まずロッカーカバーを外します。
「DIYでエンジン触るの!?」
とドキドキしますが、触るのはいわゆる外蓋を外す程度ですので特に危険やリスクはありません。エンジンルームのど真ん中にあるロッカーカバーの2つのボルトを外します。標準だと5/8インチのボルトで、軽い力で外れます。
このロッカーカバーのボルトには金属製のカラー、ワッシャー、そしてゴムパッキンと色々な部品がくっついています。なので勢いよくボルトを引き抜いて付属品がエンジンルーム内に落ちて行かないように注意です。
今回ロッカーカバーを外すのはタペット調整のためですが、ついでに消耗品であるゴムパッキン類も交換します。これらが劣化してくるとオイル漏れの原因になるのと、ロッカーカバーを外した時に(コルクガスケットを使ってたりすると)割れちゃったりして再利用ができない場合もあります。
今回外したボルトとロッカーカバーの間に挟まるゴムパッキンは潰れて割れてきているので限界ですね。交換します。下の画像でいうと一番下の黒いのがそれで、熱やオイルに触れる部分なので劣化しやすい箇所ですね。ガスケットと一緒に交換ぐらいのサイクルで管理すれば十分だと思います。
それと後でロッカーカバーを戻すときのために、このパーツの順番を忘れないようにしときます。ボルト、小さいカラー、パッキンを満遍なく押さえるワッシャー、そしてゴムパッキンの順です。向きにも注意。
そしたらロッカーカバーを弁当箱を開けるようにパカっと開けます。くっついてて外れない時はプラハンマーで叩くのが基本のようで、硬いもので叩くとロッカーカバーはアルミの箱なので歪みます。もちろんボルトの穴にドライバーなど突っ込んでテコで開けるのも歪むのでNG。僕の場合はさらりと外れました。
するとタペット群がお目見えします。メカ!って感じで好きですね。一見複雑に見えますがよく見るとシンプルな構造です。エンジンをかけると潤滑用にここにもオイルが回ってきます。なのでタペット周りはオイルまみれで問題なく(漏れてるわけではない)、しかしロッカーカバーと土台のエンジンヘッドの間のロッカーカバーガスケット(パッキン)が劣化してたりすると、潤滑用に上がってきたオイルが漏れます。
前回コルク製からゴム製のガスケットに替えましたが、今回外した感じだとまだ全然使えそうですね。締め付けで潰れてはいるものの、硬くなってないですしひび割れなんかもありません。そのまま戻しても良いのですが、一応交換時期なのでまとめて交換しておきます。それとロッカーカバーの内側に錆などがないかも良く確認しますが、特に問題はないようですね。
続いてタペットの状況確認。オイル?カーボン?の堆積がちょっと見られるので要掃除。
そしたらタペット側を目視で確認していきます。サビの発生や変な摩耗などは無さそうです。ただよく見るといくつかのタペットに汚れのこびりつきがありますね。
以前車検切らして全く走らせなかった(エンジンはたまにかけてた)時期があったので、もしやオイル切らして錆びたかも。。と若干焦りを感じます。オイルは重力で下に落ちていくので、エンジンというのはたまに回してあげないと上の方の部品からオイルが切れて空気に触れ、錆びていくことがあります。でも爪で引っ掻いたら取れました。サビではなくオイルカスやらカーボンやらの堆積ですね。拭けばきれいになりそうです。よかったよかった。
下の画像で手前から2つ目のタペット、その先端接触部分に茶色い汚れがあります。タペットごとに汚れているのときれいなのがあるようです。
ちなみにこんな感じで本来密閉されているエンジンのパーツが露わになるので、屋外作業の場合は風のある日は避けます。念のためですが、風でゴミが入るのが嫌だからです。
オルタネータープーリーのカバーを外し、エンジンクランクを手で回せるようにする。
さて次に、というかロッカーカバーを外す前にやっておいたほうがいいのですが、エンジンを手で回すための準備をします。エンジン内部のクランクを回す理由ですが、8つあるタペット(4気筒×吸排気の2つ=8タペット)はクランクシャフトの回転に応じて順番に上下します。なのでタペットごとに”クリアランスを確認すべきタイミング”があるわけです。そこでクランクシャフトを回して各タペットのクリアランス調整にちょうどいい位置に持っていきつつ作業を行う必要があります。
もちろんエンジンをかけて止めても、ぴったり狙った位置では止まらないので手動でエンジン内部を回してやるわけです。とはいえローバーミニの場合はエンジンクランク直接ではなく(エンジンルームにそのスペースがないので)、ベルトで繋がった先のオルタネータープーリーを手動で回します。ギヤを入れて車体を押すことでエンジンを回す人もいますが、狙ったところで止めづらいので大変なのと、まぁ安全とは限らないので専用工具を買ってしまうことをオススメします。Amazonで安く手に入るものなので。。
まずプーリーのカバーを外します。外さなくてもプーリーを回すことができるようにカバーに穴が空いているのですが、僕の六角レンチが長さ的にスペースギリギリだったのでカバーを外さないと工具が入りませんでした。
オルタネータープーリーのカバーはナット2つで止まっています。これを外すだけですが、作業スペースが狭いのでメガネレンチなど薄い工具が必要です。上のナットはオルタネーターの固定を兼ねて止まっています。ナットのサイズは1/2インチ。ただしラジエーターとサーモスタットを繋ぐゴムホースが邪魔なのでソケットは入りません。ここはメガネレンチで外しました。
さらにもう一箇所のナットはカバーの下側奥にあります。暗くて見づらいですが、オルタネータープーリーカバーとラジエーターの間を指差しているように、その奥をよく覗くと見えますね。
これがアクセスしづらくしかもグルグル回すスペースもないので、メガネレンチを差し込んでチマチマ回して外しました。このナットは外れた時にエンジンルーム内に落ちやすいので注意です。ナットのサイズは3/8インチです。
そしたら固定箇所は全て外れたのでカバーを外します。ただし下の画像のように上側はボルトからカバーを抜こうとするとまたラジエーターとサーモスタットを繋ぐゴムホースにぶつかるかもしれません。腹立ちますね。
ゴムなのでおりゃーと無理やり外すこともできますが、これでホースを動かしたことによって接続部がズレてクーラント漏れなんて起こしたら嫌です。なのでボルト自体を引っ込めることで隙間を作ります。ボルトは下の画像のようにオルタネーターを固定しているものなので、反対側を回すとボルト自体が引っ込んでいきます。ボルトのサイズは3/8インチ。
ただしこのボルトはカバーを外すスペースの分だけ緩めればよく、抜き取ってはダメです。オルタネータープーリーにもベルトのテンションがかかっている状態なのでオルタネーターが緩むのはまずいですね。下の画像のように最低限に止めておきます。
これでカバーが外れました。やれやれ。
カバーを外すと上下で固定してあったボルトの穴、これの上側には金属製のカラーが入っていないことがわかります。本来は入っていたと思うのですが実害はないので無視しましょう。でもあんまりキツくナットを締めるとカバーが割れそうですね。そもそも力をかけて締める必要はないパーツなので戻す時に気をつけます。
それとカバーの真ん中にもうひとつ穴が開いています。これがオルタネータープーリーの回転中心につながる穴で、本来この穴から六角レンチを入れればプーリーを回すことができ、そもそもカバーを外す必要なんてないのです。ただ僕の持っている工具だとカバーを外さなければ六角穴にアクセスするスペースがなかったのと、ファンベルトの状態を見るのに外してしまいました。
今回はここまで。ロッカーカバーとオルタネータープーリーカバーを外してタペット調整の準備がようやく整ったので次回はタペットクリアランスの調整に入っていきたいと思います。