車検を前にしたタイミングで危険レベルがかなり高い「ガソリン漏れ」のトラブルが発覚したてすたろー(うちのフェラーリテスタロッサ)。これじゃ絶対に車検の下回り検査を通らない!ということで修理をしていきます・・・。
前回潜っていてガソリンタンクしたのアンダーパネルに恐ろしいガソリン汚れを発見したので、今回はパネルを外してガソリン漏れの原因箇所を探っていきます。前回の記事はこちら。
このページのもくじ。
テスタも古いとはいえスーパーカーなので車体底面はほぼフラットボトム。なのでアンダーパネルを外す必要がある。
とりあえずアンダーパネルを外してみないと、どこから漏れているのか突き止めることができません。テスタロッサもスーパーカーなので車体の底面はパネルでフラットボトム化されており、高速域でも安定させてくれているはずです。
エンジンルーム下は冷却のためにパイプフレームのみでスカスカなんですが、それより前、つまりガソリンタンクが積まれたところから車体の前2/3ぐらいがパネルになっています。そしてパネルはいくつかに分割されていて、センター部分がちょうどガソリンタンクを覆うぐらいの1枚パネルになっています。それでもめちゃでかいけど・・・。
アンダーパネルの真ん中には丸い穴が空いていて、これはガソリンタンクのドレンボルト(つまりリフトアップすれば、ガソリンを床下のここから全て抜ける)です。もしここから漏れているなら原因はシンプルで、ドレンパッキン等の交換で対応することになります。でもこれは見ても指で触ってもガソリンが漏れていないみたい・・・。
パネルの汚れはガソリンが揮発しているとはいえ、一部はまだニチャっと指につくので、漏れている原因箇所は必ずガソリンが指につくはず。原因はやっぱりパネルの内部ですね。
アンダーパネルを外してみないとなんともわからない。しかしパネル外すだけでも苦労するのがクラシックスーパーカーか。
本来アンダーパネルを外すのは確実にリフト作業です。リジットラックだと天地が狭い世界で顔面を使ってパネルを受け止める大変な作業で、とってもシンドイです。ただ外し方自体はシンプルで、パネルの外周に沿って見えている15本程度のボルトを10mmのソケットを使って抜いていくだけ。
ただボルトを外していっている画像がありません。もうそれどころじゃないし、DIYでこんなことやるやつアメリカ人しかいねぇだろということです。笑
これはエンジンルーム側(車体後ろ側)から見たところ。メインフレームに直接ボルトが固定されていることもあれば、薄い金属ステーにナット留めされている箇所もあります。下の画像で左上部分なんかがそれでした。あとついでに右上に生えている太い黒い棒がミッションリンケージです。
うちのは後方側、中心からちょっと右の固定箇所がステーごと根本から折れちゃってました。たくさんある箇所のひとつなのでパネルが外れるようなことにはなってないですが、溶接でもしない限りどうしようもないですね。
そしていくつか後方側のボルトが外せたところでパネルをちょっとたわませて覗き込んでみます。
うーん、全体的にパネルの床面は積年の汚れで油っぽいようにも濡れているようにも見えますし、全体的にそうなのでどこら辺が垂れて来ているポイントなのかはわからず。とにもかくにもパネル全体を外します。そこで次の問題が。
車体前方側、真ん中ら辺のボルトが抜けません。固着ではなく回しても緩んでいかないのでナット側が一緒に回っちゃっているとわかります。ナットの溶接が外れてるのかな。こういうのは結構困ります。一般的な手はボルトの頭をグラインダーで切り落とすですかね。こんな狭い空間でやりたくない・・・。
でも仰向けになりながら重たいパネルを片手で支えつつ、もう片手でボルトを抜いていくのも限界。周辺いくつかのボルトを仮止めして、支えているパネルから手を離しました。パネル歪んじゃうかもしれないけど、後ろ側をぶらんとさせると(上の画像じゃ分かりませんが)一番奥に供回りしているナットが見つけられました。なんと簡易的にナットを板で挟んで固定してあるだけのようで、それが歪んでナットを固定できずにクルクル回ってました。溶接固定してくれイタリア人・・・。
心折れかけましたが、大きめのペンチを右手限界に伸ばして隙間からナットを掴み、左手を限界に伸ばしパネル奥のボルトをソケットレンチで回す。途中涙が出ましたがなんとか外すことに成功。これでパネルが下ろせます(もちろん両手全力で使ってるので顔面でパネルを受け止めてます)。画像なんてないです、千手観音じゃないので。笑
そして気づく!2個ある物体のうち、明らかに片方のヤツが濡れてしっとりしてる!絶対に犯人に違いない!!
犯人は片方の燃料ポンプ。でもそれなら接続部が原因だろうと思ったのに、ポンプのどこから漏れているのか特定できない・・・。
先ほどの2個の黒くてドラム缶のようなタンク、これは燃料ポンプ。
テスタロッサのような旧車では燃料ポンプはタンクの外に付いています。これでガソリンを送り出すんですが、普通のインジェクションならガソリンを噴射するところで必要な噴射圧力をかけるものの、テスタロッサはこのポンプがガソリンを送り出しつつ、遠くのガソリンを噴射するところの噴射圧力までを担います。なので燃料ライン全体が高圧になっていて、その途中にあるどこからでもガソリン漏れを起こしやすい状態になっているんです(ポンプから先の燃料ラインにはアキュムレーター、燃料フィルター、フューエルデスビと色々あり、漏れどころがたくさん)。で、漏れるとすぐ燃える。フェラーリが炎上する。恐怖。
そしてテスタロッサに限らないんですが、イタリアのスポーツカーはエンジンが左右で2セット載っているようなもので、ガソリンタンク(画像のカクカクした大きなものがそれ)も左右で2つ、フューエルポンプも左右から1つずつ出ていて、それが左右バンクの別々の燃料ラインにガソリンを送ってます。ちなみに左右のガソリンタンクはさすがに真ん中のパイプで繋がっていて、そのパイプの中央部にあったのがガソリンのドレンボルトです。
さてフューエルポンプを下からあらためて見てみると、車体右側のタンクから出ているポンプが濡れてますね。指で撫でてみるとサラサラと乾燥もしていない液体がつき、完全にガソリンの匂い。
落ち着いて周りもよく見てみます。ガソリンタンクでっかい。でも底面はきれいで、いろいろな箇所をじっくりライト当てて確認しましたが、この燃料ポンプ以外の場所からは漏れていないみたいです。タンクの腐食みたいな最悪の事態は免れたかも・・・。
つまりアンダーパネルは長い間燃料ポンプから少しずつ漏れ出たガソリンが垂れ続け、それが面に広がっていきつつ、ガソリンドレンの穴からパネルより下に流れ出たのが走行風でシミになっていたということです。
ひとまず燃料ポンプ、燃料ポンプだな。しかしフェラーリってなんでこんなに燃料ポンプと切っても切り離せないんだろう・・・。過去に599の購入を悩んだ時にディーラーから言われたのも「お金かかるとすれば燃料ポンプ修理」とのことでした。2-30年経ってもペインポイントが変わらないとは。笑