テスタロッサの吸気系統を初めて見たとき「へぇー」と思ったのですが、これリヤエンジンフードの上から吸気してるんですよね。テスタロッサの超特徴的なところはリヤセクション、トンネルバックからテールライトに連なる広い面積のフィンだと思います。燃焼への吸気というのはこの上面の後部中心あたりに吸気口があるんです。
エンジンをミッドシップ(なるべくリヤタイヤより前)に積むためのエンジンレイアウトが優先された結果だと思うのですが、吸気がリヤエンドっていうのはなんか新鮮ですね。
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テスタロッサのリアセクションはフィンに覆われていて、エンジンルームはほぼ”屋外”。
「空力なんてエンジンが作れないヤツの考えることだ」
的なエンツォフェラーリの言葉は有名ですが、現在はフェラーリもかなり複雑にエアフローを意識したデザインになっています。ただスーパーカー世代のテスタロッサのエアフローが良いとはあまり思っておらず、とにかくエンジンルームを冷やすことをとにかく考えたデザインだと思います。フィンだらけで空気は抜けるけどダウンフォースは得られない感じ・・・。
おそらくトンネルバックの内部(フィンの上)は負圧になりやすく、エンジンルームの熱気を上方に吸い出す(吐き出していく)構造になっているのだと思います。熱風を吹き出しながらそのリヤエンドで吸気を行うとなると、エンジン吸気はどこまで効率的に冷風を取り込めるのかちょっと疑問ですね。ちなみに街乗りで信号で止まったときなどにバックミラー越しにリヤハッチを見ると、蜃気楼のように熱で空気が揺らいでいるので、常に相当な熱を発してるんだと思います・・・。
どでかいリヤハッチは運転席の横にあるフェラーリエンブレムのレバーを引くと、ワイヤー経由でロックが外れてオープンできます(ここを壊しやすいらしいので丁寧に扱う必要がある)。デカい面積の重たいハッチをヨイショと持ち上げると広いエンジンルームが広がるのですが、吸気口はここの四角いお皿部分。
そりゃあもう真上から吸気して、その上もフィンなので大雨降って水溜まらないのかしら・・・と心配になります。さすがにどっかに水抜き穴があるとは思うんですが・・・。
それと昨今(たぶん90年代以降?)のクルマだとこういった応力がかからないパーツは軽さも重視して樹脂製ですが、テスタロッサのこれは金属製です。重たいことに加えて、金属板を折り曲げて作って塗装しているので、継ぎ目から錆びやすそうな感じ。もし錆に気がついたら広がらないよう早めに対策をしたいですね。
で、吸気としてはこれが前方のエンジン上部にあるジェトロに吸い込まれていくのですが、途中にお弁当箱のようなデカい箱があります。この中に四角いエアフィルターが入っていて、水を吸い込まないように下から上に向かって吸気がフィルターを通過し、その後は2手に分かれて左右バンクに繋がっていきます。ここからは左右が別々のエンジン、別々の制御って感じですね。
一度も開けていないのでエアフィルターの状態を確かめてみる。パカっとお弁当箱のフタを開けるだけの簡単なお仕事。
今日はこのエアフィルターボックスを開けて、エアフィルターの状態を確認しておきたいと思います。フィルターは経年劣化で消耗していくものではないので、走行距離見合いで確認したほうがいいパーツ。ローバーミニとかだと
「とりあえずいつのだかわかんなそうならサクッと交換してしまえ!」
なのですが、そこはクラシックフェラーリ。消耗品のひとつひとつを入手するのにも手間がかかるし、なんせ金もかかるので一通り新しくしてしまえと言いづらく、いったん状況を見て状態が悪そうな箇所から交換していくことにします。特に今円安でとにかく輸入する部品が高い・・・。
さてエアフィルターの交換作業。これは作業難易度的にはちょろいくて、お弁当箱のフタをパカっと開けて具を詰め替えるだけ。
まずプラスねじを3本外します。お弁当箱の周りにそのまま露出しているねじを外すだけですが、とにかくエンジンルーム内にこれらを落とさないようにだけ注意。パイプフレームのエンジンルームは地面がスケスケで見えますが、それでも意外と落としたものは見つからなくなりがちです。
ねじを外すと蓋が緩むので外せそうな感じがしますがここで無理にひねり開けてはダメです。フタの奥に2本の吸気ホースが続いているので、この接続部分のホースバンドをマイナスドライバーなどで緩めます。これを緩めるとフタが開くようになりますが、パカっととれるのではなく30°ぐらい開く程度なので無理やり開けて吸気ホース(というには太いかも)を割ったりしないように気を付けてください。
少し開くとエアフィルターが見えるので、こいつを手前に引き抜くと取り外しが完了。取り外しのイメージとしては昔のカセットテープデッキに似てますね。少し開いた隙間からカセットを入れ替える感じです。
大きめのゴミや小石はこのお弁当箱の底に溜まり、エアクリボックス内を下から上に空気が抜けていく構造になっています。
とりあえず現状品を眺めます。フィルター面積が広い板型のフィルター。綺麗かと言うと綺麗ではないけど、汚いかと言われるとそこまでではない。とりあえず気持ち程度にブロワーで逆噴射して埃を飛ばす努力だけはしておきました。
このフィルターはBosch製の純正モデルっぽいですね。型番はUFI 30887026090で、普通いくらで購入できるんでしょうか・・・。
この手のクラシックカーパーツは世界での流通・在庫状況あるいは為替相場で大きく変わるので、近々交換を迎えそうな消耗品は先んじて良いタイミングで購入しておくというのもひとつの手です(DIYだと気兼ねなくそれでいいが、ショップに部品持込だと嫌がられることがあるのかも・・・?)。
エアクリボックス内に溜まったゴミがあれば掃除しておきたい。
チェックしたら元通りに戻すだけですが、エアクリボックスの底にゴミが溜まっていないか覗いておきます。ピカピカと言うわけではないですが枯葉などのゴミは溜まっていないですね。エンジンフードのフィンは粗いように見えて実はさらにメッシュで保護されているので葉っぱサイズの物は入ってきませんが小石は入る可能性があります。
戻す際に気をつけるのは、お弁当箱のフタを閉める際にはフィルター外周ゴムがしっかりハマっていることを確認するのと、どうやらフィルターボックスのフタで外周ゴムを挟んでプレスすることで空気漏れがないようにしているっぽいので、フタはピッタリは閉まらずネジをいい具合に閉めることになりそうです。無理に締めすぎると破損しそうなので、まずは手前(車体後部側)のネジを軽く締め、次に左右のネジを均等に締めるという具合に均一に締め込んでいく必要があります。
このフィルターボックスも見た感じ樹脂っぽいのですが触ってみると金属製だということがわかります。これも角とか塗装が割れてはがれやすく、その時露出した地金がさびてくることがありそうなので注意してあげる必要がありそうです。
ということで消耗品であるエアフィルターの交換方法(状態チェック方法)でした。