テスタロッサ:ジャッキアップをしなければDIYは進まない!リヤガラスを割らないようジリジリ上げ下げする鬼門。

今回はテスタロッサのジャッキアップについて書いていきたいと思います。まず家でテスタロッサをジャッキアップする人間がどれほどいるのか謎ですね。DIYカルチャーの中に生きるアメリカ人ぐらいでしょうか。笑

もちろん家にはリフトなんてないわけで、しかしDIYで色々と作業するにはジャッキアップは避けて通れないわけです。それこそオイル交換ひとつでさえ。そのときテスタロッサにおいて鬼門なのは、テキトーに片側だけガンガン上げると車体が歪んで特殊に湾曲したリヤガラスが割れるリスクがある(という噂)ということ。さて、怖いですがやっていきましょう・・・。

オイル交換にあたっての鬼門はやはりジャッキアップ。ローバーミニとは緊張感が違うぞ。

オイル交換などの作業に必要なのは、ひとまずクルマの後輪をジャッキアップで持ち上げることです。

テスタロッサはミッドシップの縦置きエンジン、オイルパンは車体後方の中央部にあります。案外車体底面の地上高は低くないのですが(純正だと結構ホイールハウスとタイヤの隙間が広いと感じるほど車高が高めの設定)、とはいえ手を突っ込んでも2mの車幅の中央にあるオイルパンにアクセスするのはキツいですね。それにかなりの量のオイルを受け止められる大容量のトレイも地面の隙間に、入らないので車体の持ち上げは必須です。

フェラーリテスタロッサ

というかこういったクルマをオイル交換やら何やらで(普通のショップなら)ジャッキアップするなんてことはなく、リフトが当たり前です。同じような工賃なら、ジャッキアップでなんとかしようという店(小さい店だとたまにあるぽい)で作業を依頼するのは避けたいところ。

とはいえDIYではジャッキアップです!気合と根性と愛と勇気があればできるはず!とはいえまずは

「こんなのどうやってジャッキアップすんのよ・・・」

というところから・・・。しかしこの世代のクルマは、ある程度ディーラー以外でもメンテナンスされることを前提にしているので、ジャッキポイントやら消耗品交換やら、一般的な事項はちゃんと取説に書いてあるんですよねー。ありがたやありがたや。

ただし説明書などがついている車両であることが前提です。旧車フェラーリだと、取説とか車載工具とかだけを中抜きして、車体とは別にヤフオクとかで転売する業者も多いらしいです。

ジャッキは当てる場所の強度を確実に確認する。それとテスタは左右均等に上げないとリヤガラスが割れるらしい・・・!

ということで取説をぺラリ。なるほどなるほど。このへんにジャッキを当ててくださいと・・・。めちゃくちゃ説明粗いじゃないか。そして車載工具についているのは古くて強度が不安なパンタジャッキです。さすがにこれは使いません・・・。

クラシックスーパーカーはパイプのつぎはぎで構成されていますし、のぞき込めばパイプ丸出しなので目で見て強固な場所が判断可能です。基本的には見えているメインフレームにジャッキを当てて持ち上げれば大丈夫なはずですが、車体裏は空気を整流するために真っ平らなパネルで覆われていて(テスタロッサの場合はフロントからガソリンタンクまでで、エンジンミッション直下はパネルがない)、パネルがある場所はジャッキを当てる場所を間違えると車体裏かボディサイドが確実に歪むか割れそうです。

確実に調べてから作業するのが一番いいですが、こういう時日本語でググっても大体良い情報が得られないので英語で画像検索していくとお目当ての情報を得られます。DIY大国アメリカから情報を得ましょう。

フェラーリテスタロッサと夕焼け

とりあえず実車を裏から覗き込んで説明書に書いてあるフロアパネル端をコンコンしていくことで、その音からフレームが入っている場所にアタリをつけます。大丈夫だとは思いますが、ジャッキをかけて持ち上げる場所と、さらにリジットラック(ウマ)をかける場所の2箇所が必要なので、結局エンジンルーム下のメインフレームを使いました(後で画像でかけている場所がわかります)。

さらにもうひとつ、めちゃくちゃ重要な気をつけるポイントがあります。それが左右を均等にジャッキアップしていくこと。説明書には緊急時のタイヤ交換で片側をジャッキアップすることが書かれていますが、片側だけで上げると、最悪リヤの美しい曲面ガラスが割れるらしいです・・・。一発でどれだけの金額が吹っ飛ぶのか・・・恐ろしや。

フロアジャッキの2機目を購入。これで重たいクルマも左右均等にジャッキアップできるぞ。保管がめちゃ邪魔だが・・・。

ということで用意したのがもうひとつのジャッキ。もちろん車高が低いクルマにも対応したフロアジャッキです。元々ひとつ持っていたのですが、もうひとつ用意して左右を少しずつ均等に持ち上げていこうという作戦です。とりあえず持っていたジャッキで困ることもなかったですし、とするとあえて違う種類のジャッキを買う必要もないので、持っていたものと同じものをもうひとつ購入。これに追加でジャッキ用のクッションゴムつきアダプターを入れます(車体を傷つけないようにするもの)。

スポーツカー乗りはローダウンジャッキ(薄くて最低地上高の低い車にも入る)を買っておいた方が安全かと思います。車体外側のジャッキポイントだけじゃなくて奥のフレームにかけることもあるので、そういった時は特に薄いものじゃないと車体にぶつかって入りません。



さてこれでジャッキアップしていくわけですが、フロントを上げるのと違ってリヤを上げる時はサイドブレーキも効かず、フロントタイヤが自由に回転して動く恐れがあるので輪止めを入れてます。これはテスタロッサに常に積んでいるアイテムで、出先の駐車場所が斜面だったりすると、念の為輪止めを入れるようにしています(もちろんミッションも入れておくのですが)。

基本的に傾いた駐車場には(ドアパンされる恐れもあるので)停めないんですが、いざっていう時用です。


フェラーリテスタロッサのジャッキアップ

これでいつでも車体を上げることが可能ですね。あとは勇気を出して持ち上げるだけです。笑

僕はガレージ内でジャッキアップするので、エンジンフードが天井に当たらないよう閉めた状態で上げます(普通に停まってる状態でエンジンフードを開けても、でかいフードなので案外天井ギリギリ)。でもジャッキアップ中にドアを開けるのは嫌なので先にフードのロックだけ開けて、ドアはきっちり閉めておきました。テスタロッサってもちろんキーリモコンもないので、運転席からフードを開けるしかないんです。

よし、勇気を出して上げてくぞ。

ということで左右の後輪ちょっと前、覗き込んでよくジャッキポイントを確認してジャッキをかけます。結局リフトの時にかけるであろうジャッキポイントを使わず、もっと奥にあるリヤエンジンを支えるメインフレームの付け根にかけました。ここは確実に頑丈ですよね・・・。

フェラーリテスタロッサのジャッキアップ

ビビるので片側3回ずつ、つまり3-5cm程度ずつ左右交互に上げていきます。あんまり片側を一気に上げて反対側がジャッキから浮いてしまっては意味がありません。というか反対側が浮くほど車体にねじれる力をかけたらガラスが割れるかもしれないということです。

そして反対側に回る時に、毎回車の左右水平度合いも目で見て確認してます。そしてまた反対を3回ほど上げる。時間はかかりますがこれを左右交互に繰り返して少しずつ上げていきます。歪んだりガラス割れたらほんと洒落にならないので・・・。

フェラーリテスタロッサのジャッキアップ

そうそう!テスタロッサはフロントノーズがかなり長いので、お尻を上げすぎると地面にぶつかる危険があります。うちのてすたろー(テスタロッサ)は純正車高のため、フロントも地上との幅が結構あったので全く問題なしでしたが、車高下げてる人はぶつける可能性がありますね。そんなこんなでリジットラック(ウマ)がかかる高さまで上げたら、左右均等の高さになるようにパイプフレームの左右対称の位置にウマをかけていきます。ウマの高さより高く上げすぎると、今度は左右均等に下ろすのに苦労するのでリジットラックがギリギリ入る高さにとどまるよう気をつけてます。

フェラーリテスタロッサのジャッキアップ

少しずつ上げていくとようやく後輪が地面から飛び立ちました。見ていて怖くなりますね。笑 あと2台とはいえ、つゆだく(ローバーミニ)と違って圧倒的に重い。笑

リジットラックはジャッキをかけた近く、同じフレームにしっかりとかけた。これでジャッキアップは無事完了。

ようやくジャッキアップ完了。リジットラックもガタつくことなく、しっかりフレームが乗ってることを確認します。

一度やってしまえばそんなもんかという感じですが、最初はビビりますね・・・。あと下ろすときが心配で、左右ちょっとずつ油圧を抜いては止めを繰り返して左右均等に下ろしていくのは苦労しそうです(失敗して一気に油圧が抜けると超危険)。

フェラーリテスタロッサのジャッキアップ

リジットラックは一番低い高さ設定でリヤタイヤのちょい前(ジャッキより後ろ)にかかっていますが、這いつくばってエンジンの真下に潜るには最低限のスペースができました。次回はもう一段高くしておけばもう少し作業スペースに余裕ができそうです。

リジットラックにはしっかり車体が降りた状態で、念には念のバックアップとしてジャッキもちょっとだけテンションかかった状態でフレームにかけっぱなしにしています。僕って閉所が苦手だからか、クルマの下に潜るの怖いんですよね・・・。車体に潜るたびに、ウマかけずにクルマに潰されて死んだ人の話を思い出します。。

フェラーリテスタロッサのジャッキアップ

リヤが持ち上がったのでテスタロッサ名物の2本サスペンションがお目見えしてますね。迫力があります。

これで本題の車体裏作業に入りますが、下ろす時はジャッキを少し上げてリジットラックを外し、とにかく少しずつゆっくりと左右均等に下ろします。これが一番調節難しいです。僕のジャッキはボルトを緩めると油圧が抜けてジャッキが降りていきますが、その固定ボルトをキツく締めすぎていると緩める方向もガクッと緩んで一気に下がってしまいます。なのでうまくほんのちょっとだけ緩める→締めるを繰り返して下ろすのが鬼門ですね。

作業の最後に集中を切らさないよう注意が必要です。ということでテスタロッサのジャッキアップでした。取説のように片側1箇所をエイヤと持ち上げる勇気は湧いてこないですね。笑