ステアリング機構の部品状態を見て修理をしてきましたが、今回が最後の交換箇所であるタイロッドになります。前回までにタイロッドエンドとステアリングラックブーツを取り外したので、今回は難関であるタイロッドそのものを取り外してチェックしていきたいと思います。
前回までの記事はこちら。
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一番難易度が高いのがタイロッドをステアリングラックシャフトから取り外すところ。足でバイスプライヤーを押し込む。
さて本題のタイロッドをステアリングラックシャフトから外していきましょう。
結論としては結構苦労しました。以前ステアリングラックブッシュの交換で外したのは助手席側だったのですが、今回先に作業を着手したのが運転席側、つまり前回外していない方です。たまたまこの運転席側のタイロッド(ボールジョイントのハウジング)の締まりが固かったというのと、どちらも時計回りに締まる順方向のネジだったため、運転席側を外すためにはボディ下に半身を突っ込んでバイスプライヤーを足で押す必要があって力の入りづらい体勢だったというのもあります。
以前車体がウマ(リジットラック)から落ちると危ないので、バイスプライヤーは蹴らずに足でゆっくり押すべしと書きました。でもごめんなさい、今回外れなすぎてだいぶ蹴りました。笑 上の画像は撮影タイミングが悪くて、実際はタイロッドエンドのロックナットを外してブーツを抜いてからバイスプライヤーで掴んで作業しています。
詳しい作業は以前の記事で。今回の記載では運転席側の作業写真をあげていますが、以前作業したのはステアリングラックブッシュが入っている助手席側です。
ローバーミニ:ステアリングのガタつき原因としてメジャーなステアリングラックブッシュを交換する。これでガタ付きは治るか。~タイロッドとブッシュ分解編~
苦労してようやく緩みましたが、一度緩んでしまえばあとはバイスプライヤーを外して手でくるくると外すことができます。これで古いタイロッドの取り外しが完了。
ちなみに下の画像が運転席側のステアリングラックエンドです。パーツクリーナーで掃除した後なので綺麗な状態ですが、助手席側と違って黒い樹脂性ブッシュが入っていないことがわかります。おそらく運転席側はラックエンドのすぐそこがステアリングコラムとラックアンドピニオンで接続されている部分なのでガッチリと固定されているんでしょう。
タイロッドは外すのに苦労しますが、一度外してしまえば取り付けは簡単です。その前に外した古いタイロッドの状態を見ておきたいと思います。
古いタイロッドはボールジョイント部分がガタガタ。1mm程度のガタつきでも、実際にステアリングを握ると大きなアソビになる。
外した古いタイロッドはこちら。タイロッドはボールジョイントとハウジング部分、そしてハブへと続くシャフト部分の大きく2つのパーツで構成されていて、消耗するのはボールジョイント。ちなみにボールジョイントハウジングが傷だらけなのはバイスプライヤーで何度も掴み直したからでトラブルではありません・・・。
今回どれぐらいガタがあったかというと、ステアリングラックに取り付けられた状態でタイロッドのシャフトを持って奥手前方向(車体から見て左右方向)に揺すると、小さくカタカタと音を立てながら0.5mm程度動きます。これはジョイントが磨耗してしまったからで、このわずかなガタつきがステアリングハンドルで言うと5~10°ぐらいの大きなアソビになります。
ボールジョイントにアソビがあると、その分加速時にはトー角がイン方向に若干キツくなり、減速時にはトー角が浅くなります。これが強く加速していたところから急に減速に切り替わる瞬間に若干のフラつきを生み、狭い幹線道路を走っていると轍にタイヤを取られてから握ったステアリングで進路を修正するのに若干のタイムラグを感じます。
よく点検時にジャッキアップして前輪が浮いた状態でタイヤを持って軽く前後左右にゆすりますが、その時左右方向に多少でもガタつきがあるとタイロッドエンドからステアリングラックまでのどこかを疑います(上下左右どの方向にもガタつきがあるとハブベアリングが破損していることもある)。左右に揺すって小さくカタカタと音がするようならもう交換時期です。
新しいタイロッドはボールジョイント部分がガチガチに固く、手で動かすのが大変なぐらい。
続いて新しいタイロッド。今回購入したのはJMSAステアリングラックタイロッドセット。1本ずつ単品で売っており、左右で共通の部品です。これが2本で合計16,500円。まぁそれなりにしますね。
新しい部品は元々の部品と設計が異なっており、外すのに苦労した分だけガッチリと固定されるカシメ部分がありません。なのでトルクをかけてねじ込むことで確実に固定する必要があります。その一方でボールジョイントのハウジング部分が4角形になっているので工具で掴んで締めやすいようになっています。
締めやすいようになったものの、結局この径を掴めるのは大型のモンキーレンチなどになってしまい、僕の持っている工具では掴んで回すだけのスペースが確保できなかったので結局バイスプライヤーで丸い部分を掴んで回します。
ボール側はこんな感じ。まぁもちろん隙間もなくガッチリと噛み合っています。上の画像のようにタイロッド単体で手に持ってシャフトとボールジョイントハウジングを動かそうとしても、なかなか動かないぐらいには遊びのないぴったりの設計です。
次回は取り付けをして完了編です。