水温が上昇してきた際、冷却のためラジエーターにクーラントを流すよう水路を分岐する役割を果たすのがサーモスタット。今回はDIYでそのサーモスタット関連の分解と清掃を行います。
さて前回クーラントを抜いてラジエーターを含めた水路洗浄まで完了しました。とりあえずサーモスイッチやコックを戻して、いったん水道水を満たしている状態です。前回までの記事はこちら。
なんでちゃんとしたクーラントを入れていないかというと、それはまだ動作不良を起こしてオーバーヒートの原因になった冷却ファンの修理ができていないから。前回の作業の中で、水温が上がっても冷却ファンが回らないのは水温によって作動するファンサーモスイッチが原因だろうと考えました。ファンサーモスイッチを外すとクーラントが流れ出てしまうので、部品交換するまでは水のままにしています(該当部品がなかなか手に入ってない)。なんか入れとかないと空気に触れ続けて錆が発生したらと、、、心配になってしまいます。
ということで今回水路周り洗浄だけでなく、壊れていなくても冷却系消耗部品をまとめて交換したいと思います。特に夏だとこの辺でトラブルを起こすとすぐオーバーヒート、自走で帰って来れなくなる可能性も高いので、予防での部品交換ということです。
このページのもくじ。
まずはサーモスタットハウジングとラジエーターに繋がる3点ステーを分解する。熱による固着が心配な箇所。
今回はサーモスタットを交換します。サーモスタット?サーモスタッド?英語ではThermostatなのでサーモスタットですね。笑
サーモスタットは水温が一定以上になると、水路内でラジエーターに流れ込むルートの弁を開く役割を持っていて、これによりラジエーターにクーラントが流れ込むと冷却がされるわけです。逆に冬の低気温や、エンジン掛けたてで水温が低い時はラジエーターにクーラントを流さないことで水温を上げようとします。なのでサーモスタットが劣化して閉じっぱなしになると冷却できずオーバーヒート、逆に開きっぱなしになるとオーバークールもしくはなかなか水温が上がらなくエンジンに負担がかかります。特に閉じっぱなしになるとそもそもラジエーターにクーラントが循環しないので、冷却ファンが頑張ってもオーバーヒートになる可能性があります。サーモスタットは肝となる部品なのです。。
とりあえず分解からいきましょう。下の画像はエンジンルームの車体左側(エンジンルームを覗き込んだ右側)のラジエーター付近です。
まず金属製のサーモスタットハウジング(カバー)を固定している3本のボルトを緩めます。ボルトのサイズは7/16インチです。一般的にはこのボルトが固着することが多いらしく(エンジンヘッドに刺さってるのでかなり熱を受け固着する)、力を入れすぎると折れるという最悪の事態になる可能性も。力を入れても動かなそうであれば力任せに粘らずラスペネ(固着を解く浸透潤滑剤)を吹いて時間を置いてから再トライをしましょう。言わずもがなですが作業は冷間時に。
僕の場合はラッキーなことにサクッと外れました。ボルトが綺麗なのでおそらく納車整備時に新品にしてくれたんでしょう。古そうだったら固着や折れの原因になるので、ボルトも新品交換しておくと安全です。緩めるとガスケットからクーラントが流れ出てきますが、今入ってるのは水なので気にしません。通常はクーラントを抜いてから作業するか、周りに吸水用のタオルやペーパーを敷き詰めておくと良いと思います。
それとまだ外すパーツがあります。サーモスタットの土台とラジエーターを繋ぐ金属ステーを外さないと、完全には分解ができません。
まずラジエーター側の2本のボルトはさっきと同じ7/16インチで外れます。締め付けトルクは低いですが、なぜかボルトヘッドが薄いので念のため舐めないように注意して回します。
最後にサーモスタットの土台に固定されているナットを1/2インチで外します。ここだけサイズが違うんかい!と思いますね。。
これでステーが外れました。このステーはラジエーターの上の方を固定することによってラジエーターがガタガタ揺れないようにしています。ラジエーター側のボルト穴2箇所はよく見るとゴム製のパッキンになっていて振動を吸収するようです。劣化しているものの切れてはいないのと、そんなもん準備してなかったわ!ということなので今回はそのまま戻します。それと後で組み戻す時にステーの表裏がわからなくなることがあるので、上の画像の向きに取り付けるのを間違えないようにします。
水路のゴムホースを外すとサーモスタットが周りの分解ができる。ガスケットは交換時期みたい。
さらにゴムホースを外します。サーモスタットからは2本ホースが繋がっていて、先ほど書いた通り1本はラジエーターにつながるホース、もう1本はラジエーターを経由せずまたエンジンに戻っていくホースです。
まずラジエーターホースですが、サーモスタットのヘッドカバーとの接続を外してもいいですし、ラジエーターとの接続を外してもいいです。今回はラジエーター側を外します。ホースバンド(上の画像で指を指している箇所)をマイナスドライバーで緩めてからスポッと抜きます。
これでサーモスタットのヘッドハウジングが外れました。サーモスタット本体が見えますね。
サーモスタット本体はこの段階で外せます。でも97年以降のインジェクションミニはサーモスタットを固定する部品が2段になっていて、ガスケットも2枚です。さすがにここまで分解しておいてもう1枚のガスケットを交換しないとか考えられないのでサーモスタッドがハマっている土台も外します。
そのため下の画像で指刺している、もうひとつエンジンルームの奥に向かって土台から生えているホースを同じように外します。こちらのホースは土台から生えています。
これで土台まで分解できました。ガスケットも今回はベロンと簡単に取れました。軽く力を加えるとすぐに割れてちぎれてしまったので交換時期ですね。ガスケットの外側に青いクーラントの乾いた跡があるということは、漏れではありませんが、滲む程度にはなっていたということですかね。
上の画像で持っている大きいほうの部品が金属製の土台です。劣化して同じような色になっているのでわかりづらいですが、エンジンヘッドと土台の間にガスケットが1枚、土台とハウジングの間に1枚の合計2枚が必要になります。
分解したパーツのガスケット面をきれいに削るのと、全部品は洗浄して組み立てに備える。
さてエンジンブロック側を見てみます。おおっと。。錆びてるけど水に浸かっている鉄なのでこんなもんですかね。。先日抜いたクーラントにも、洗浄後の水にも錆は出ていなかったので正常範囲なのだと信じます。しかし船着場の鎖のようなサビ感ですね。。
次に新しいガスケットを取り付ける準備として、ガスケットの接地面だけ番手の細かい紙やすりで磨いて古いガスケットを落としておきます。不必要に磨かず、指で触って凹凸がなければOK。磨きクズが水面に浮いてしまったのでティッシュペーパーを浮かべて除去しておきます。それとネジ穴が錆びると後でボルトが入らなくなったり固着して困るので、綿棒で掃除しつつ水を抜いておきます。
これで車体側の作業は一旦終了。暑いので残りの作業は家に入って落ち着いてやりたいと思います。。
まずは持ち帰った各部品の掃除から。僕はいつも外でブレーキパーツクリーナーを吹いてペーパーで大まかな汚れを取り、その後家で歯ブラシと食器用洗剤を使って部品を細かくきれいにします。歯ブラシで油汚れが飛ぶので服につくと落ちないですよ。それと最後に洗面所をきれいにしておかないと怒られます。
この長い3本がサーモスタットハウジングを固定していたボルト。ネジ山に色々詰まって回りづらくなっていたのでなるべく落としました。本当は金属ブラシで落とすのがいいですね。
上の画像が上の段のガスケット。その穴から奥に覗ける金属円盤がサーモスタット本体です。きれいに取れたガスケットは紙っぽい繊維成分でした。再利用できないのでポイします。
こちらは下の段のガスケットで、簡単に剥がれるのですが硬くなって折れてしまいました。こちらも処分です。
さてここからが重要な作業なのですが、古いガスケットを取り除きます。今回きれいに剥がれたもののよく見るとあおいガスケットのカスが残っており、指手触ると若干凸凹しています。これを均さずに新しいガスケットを組み付けるとクーラント漏れの原因になることがあります。
今回はサンドペーパーのみ。ひどい場合はスクレーパー(危険だけどカッターの刃も)で剥がしてからサンドペーパーをかけます。金属部品を削りたくないので細かいサンドペーパーでチマチマと表面を触って艶々になるまで削ります。金属を削って表面が平らでなくなると、それはそれで漏れの原因になるのでやりすぎに注意です。
これで全部品のクリーニングが完了しました。面倒ですがクリーニングは手を抜かない方が良いですね。
これで新しいガスケットを組み付けていきたいと思います。