ローバーミニ:フロントサスペンションをスプリングに交換する。~アッパーアーム点検・シャフト交換編~

前回のテンションロッドに引き続いてアッパーアームもチェックしていきます。ひとまず分解してきたアッパーアームの内部をキレイに拭き上げます。ここまでの分解について記事はこちら。

ローバーミニ:フロントサスペンションをスプリングに交換する。~アッパーアーム分解の前編~
さてさて長々続いているつゆだく(ローバーミニ )のフロント足回りの分解。元々はラバーコーンをコイルスプリングに換えることがゴール...つづく
ローバーミニ:フロントサスペンションをスプリングに交換する。~アッパーアーム分解の後編~
前回までに苦労して狭いスペース内でアッパーアームを固定する全てのボルトを取り外しました。なので今回はシャフトを抜いていよいよアッ...つづく

■分解した部品の全容はこちら。結構いろんな部品が入ってる。

僕はいらなくなったシーツを二枚折にして床に敷き、そこで作業しています。グリスで室内が汚れると大変なことになるのでね・・・さて、下の画像はアッパーアーム片側の全容。

ただの上下可動部品と思いきや結構部品数が多く、シャフトにグリスを補充、かつ漏れないようにするための仕組みが必要だからでしょう。最近のクルマは10年でもメンテナンスフリーですし、不具合が発生したらアセンブリ交換ですからねー。

今回実際にオーバーホール(消耗品交換)のメインはボディ側の付け根。上の画像でいうとアッパーアーム上側の中にあるシャフト類・その周辺部品ですね。ちなみに上の画像は車体右側ですが、すでにシャフトのゴムリングが片側なくなっていました・・・

あとは車体左側のアッパーアームを支える軸受けプレートの固定ナットが1本だけ替えられていました。奥の本来サブフレームに溶接されているはずのナットが取れてしまったのか、外径の違うナットに・・・まぁ気にしないでおきましょう。

ひとまず外でパーツクリーナーを使用して大まかに清掃しました。ここからさらにアッパーアーム内部(グリスが溜まっている)を丁寧に掃除して、ベアリングの状態などを確認します。

■分解した元部品のチェック。シャフト内部の状態は良さそう。

ベアリングはアッパーアームの左右端に入っています。しっかりと掃除をして覗いてみると状態は良いようですね。大きな磨耗がないこと、そして傷がないことを確認。指でベアリングを回してみても引っ掛かりなどありません。両側ともOK。

次にシャフトも確認します。シャフトは基本的に回転接地面がベアリングの箇所になるので、シャフトの太い部分のうち両端が削れて段になっていなければ大丈夫。わずかな跡はみられますが(まだらに見えるのはわずかに表面が波打ってしまっているということ)、触っても全くわからないですし問題なさそうです。

この辺りの状態が良いのはグリスアップがされてるからですね。グリスが切れると錆びて変な摩耗を起こします。

まぁアッパーアームは上下に動くものの、常に回転しているわけではないですしあまり磨耗することも考えづらいと思います。一方で結構な力がかかるので破損や傷が発生しやすいかも。

左右端でグリスの流出を防ぎつつ、グリス補充したら古いグリスが適度に出ていかせるためのゴムリング。これは変形してしまってダメですね。どちらにせよここまで分解したならゴム部品類は全て交換です。ただなんか構造や寸法的にも、アッパーアームのゴムリングは変形して役目を果たさなくなりやすいように感じますが・・・

その他の部品も全てチェックしました。

■アッパーアームシャフトはオーバーホールキットに入れ替える。

今回は元々シャフト左右のゴムリングだけ交換ですめば良いかなと思っていたのですが、片側のアッパーアームを分解した際に軸受けプレートが折れていたことから、プレートも交換することに。

ネットで部品を検索したのですがプレート単品はなかなか売っておらず、やたらと高価な強化品(確かに折れないように厚くなっているのは良いと思う)ぐらいしか見当たりませんでした。するとむしろ、標準強度ですがプレートとシャフト、左右のゴムリングなど一式が入ったオーバーホールキットの方が遥かにお得なことに気付きました。なのでせっかくここまで面倒な分解をやるのだから、シャフトなどもついでに新品に交換しておくのも良いだろうとキットを購入。

まぁつゆだく(ローバーミニ)を手に入れてから結構な距離を走っていますからね。別にこう言った部品が交換になることは悪いことではなく、むしろここまで状態良く走ってきてくれたのは相当良い方だと考えています。

上の画像で上にあるのが元々外した部品、下の段がオーバーホールキットです(これに菱形の軸受けプレートがつく)。ベアリングはアッパーアームから取り外すのに様々な工具が必要で難しく、かつ元々ついていたものの状態も良かったので交換せず、それ以外の部品は全て新品に交換します。

こちらは新品のベアリング。使わないですが今後のために保管しておきます。

■新品部品をグリスアップして組み上げておく。

さて新品を気持ちよく組み立てます。まずシャフトにはモリブデングリスを塗っておきます。僕はいつも足回りのグリスアップにモリブデンを使っており、これはウレアグリスよりも粘度が低いグレーのグリスで、水には弱いのでこう言った密閉箇所に向いています。

シャフトにグリスを塗ったらアッパーアームに差し込み、両端を蓋するように左右の金属板とゴムリング、そしてナットで止めておきます。ねじ山部分にはスレッドコンパウンドを塗り込んでいます。

パーツの組み込み順序は一番最初の画像の順で組み立ててください。ゴムリングは上の画像のように、アッパーアーム両端の段差(低くなったところ)にしっかりはめます。ここでは簡単に組めますが、実際にサブフレームに組み付ける際にこのゴムリングがずれやすいので注意。

もちろんプレートを固定する小さなボルトもしっかりスレッドコンパウンドを塗っておきます。

これで組み付け前の準備が完了しました。あとはこれを車体に戻します。組み付けも結構大変なんですよね・・・笑