納車後1ヶ月点検も終わったので、いざオイルポンプの交換とオイルクーラーの取り付けを行っている綾乃ちゃん(うちのエイプ)。前回はオイルポンプにアクセスするためにクランクケースカバーを外すところまで作業しました。今回は本題であるオイルポンプを強化品に交換していきます。
前回の記事はこちら。
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ひとまず初めてパカっと開けたクランクケースの中身を見聞する。ガスケットは結構きれいに剥がれたぞ。
ガスケット。ラッキーなことにほぼカバー側に残ることなく、1周ぶんキレイに本体側に残りました。触ってみるとまだ固くなったりせず、そこまで時間が経ってないのかも?前回開けられたというとおそらくボアアップ作業時でしょうかね。
走行距離は短いとはいえ、いつボアアップされたのか期間はわからないのでなんとも言えないですが、ガスケットの状態はわりと良いです。ほんとはダメだけど使い回してシマイソウ・・・。笑
左の手前に突き出ている軸がキックスターター、真ん中上のでかい丸がクラッチ、右下がオイルポンプです。
それと気をつけなきゃいけないのが、カバーの位置決めをするためであろうパイプ状のスペーサーが2箇所入ってます。クラッチの左の箇所(上の画像)と、オイルポンプの右上箇所。手でつまむとスポッと取れるんですが、場合によっては外したケース側についてくることもあると思うので、無くさないように注意が必要。それと弱そうなパーツなので無理な力をかけたり工具をぶつけたりすると歪みそう。そうなるとここからオイル漏れたりするのでなおさら注意です。
ということでここまでがクランクケースカバーの取り外しでした。ここで一度車体をちょっと右側に傾けるとクランクケースに残っていたオイルがザパーと流れ出ます。
本題のオイルポンプ交換。これがエイプ100だとプラスの皿ネジが外れなくて苦労するらしい・・・。50だと六角ボルトなので簡単に外せる。
さてまずはオイルポンプのカバーから取り外し。8mmのナット2本を外します。
これで簡単に外れます。中のパーツはもちろんオイルがついているので外したら埃のつくような場所には置かないようにします。戻すときにはパーツクリーナーで掃除してから戻しましょう。
そしたら次にクランクシャフトからオイルポンプを回す動力を繋ぐギアが見えるので、これをスポッと抜きます。固定はされていないので引き抜くだけですが、ギヤとその軸は個別に外れるパーツです。軸部分は新しいパーツと入れ替えるので無くさないようにポンプ本体と一緒に保管しておきます。ギヤは面裏さなそうですが一応元の向きを覚えておきました。
これで直接オイルポンプ本体にアクセスできます。Ape100だとここが鬼門らしく、めちゃくちゃ固いのにプラスの皿ネジが使われているので普通にやるとナメてしまうらしいです。Ape50だと下の画像のように10mmの六角ボルト2本なので問題なく外せます。
これをそっと外します。裏側にオイルのinとoutがあって、さっき引き抜いたギヤの軸が回ることによってオイルポンプが回り、inからオイルを吸ってoutから出すことで循環させています。
で、オイルポンプのinとoutは流路とポンプの間にそれぞれ黒いOリングが入っていて、これを取り除きます。消耗部品なのでここまできたら新品交換しておきたいところですが、まだまだ全然綺麗そう・・・。
いや、よく見ると、なんと片側が切れてはいないものの完全に一部が潰れてます。これはOリングがハマる穴からズレてしまっていて、そのままオイルポンプを締め込んだからこうなってしまっていたようですね。ということはこれまでオイルが流路以外にも流れてしまっていた?ということになりますが、これがin側?out側?たぶんin側。out側だったらちゃんとオイル循環が弱くてエンジン焼きつくみたいなことになってたかも・・・。困りますね。
ついているのは標準オイルポンプだったので、15年前工場出荷時の初期不良なのか、あるいはボアアップ時に消耗品フル交換してもらったときのショップのミスなのか・・・。いずれにせよすぐにOリングの入ったガスケットセットを注文するハメになりました。
オイルポンプの新旧品比較。黄色いマークがついている右が新しいデイトナ製の強化オイルポンプ。in/outの穴サイズなどは変わらないように見えますが厚みが違うのでそれが容量の差になっているようです。オイルはクルマやバイクの血液と言われますが、オイルポンプは循環の起点なので心臓に該当するわけですね。50ccバイクとはいえこんなにも小さくて小容量なものなのかとちょっと心配に思っちゃいますね。
このオイルポンプ内にもガスケットが入ってますが、新品オイルポンプには新品ガスケットが組み込まれてるはずなのでこのまま取り付けます。
新しいオイルポンプの取説には「inの穴にオイル突っ込みながら軸を回して、outからオイルが出てくることを確認してください」って書いてあるんですが、やる必要あるんかな?あまりに初歩的な初期不良チェック。めんどくさいけど古いオイルを指で垂らして試しておきました。問題なし。
取り付けは新しいOリングが届くのを待つしかないですね、、、
Amazonだと2,560円なのでこちらの方がお得。
・キタコ(KITACO) パッキンセット-B APE50 960-1122100:2,560円
Honda純正のガスケットも手に入るようですが、キタコに都合のいいガスケットセットがあったのでこちらを購入。セットはAとBがありますが、今回使うのはBセットです。便利な詰め合わせ・・・。笑 これにはミッションやクラッチ周り、つまりエンジン下側の消耗品が一通り入ってます。Oリングを購入する必要があるのですが、他にもカバーガスケットやドレンボルトパッキンなど入っているので、せっかくなら一通り交換した方がいいと判断しました。
大変なのはオリフィス穴の拡大加工。この1mm程度の小さな穴を拡張するために本来はエンジンを下ろして分解する必要がある・・・。
さて、強化オイルポンプの装着において山場はオイルポンプの交換にはなく、このオリフィス穴の拡大加工にあります。要はオイルポンプの流量が格段に上がるんだから、その分オイルの流路を合わせて拡大しようぜということ。
そこで指定されいている箇所を見てみます。エンジンピストン側(上側)のガスケットをめくると該当箇所が見えます。それが指の延長に見える1mm程度の点のような穴・・・。
オイルポンプから送り出されたオイルは、この端っこの通路を通ってこの点に入っていきます。そして高速で上下するピストンをオイルで潤すと。・・・え、こんなちっせえ穴なの?熱でシャバシャバになったオイルだってこんな狭い流路じゃチョロチョロしかオイルが流れて行かない気がします。しかもちょっとでも何か異物混入したらすぐ詰まるよね?さすがに天下のHONDA様が設計したのだから大丈夫なのかもしれませんが、どうなんでしょう・・・。
これを2.5mmに広げるという指示です。この穴の奥にはもうちょい広い流路が広がっているようなので、広げさえすれば流量が増えるっぽい。ただしその先はエンジンなので、エンジンを下ろして、ヘッドから分解していって、ようやく穴を広げて切削クズを綺麗に除去する必要があります。
・・・え、このためにエンジン下ろしてばらすの?
いやそうですよね、おっしゃっていることはその通り・・・だけど・・・。ということで切削屑に最大限気をつけながら非分解のまま作業します。全く推奨できませんが、ネット上にはそういう人がちょこちょこいます。笑 ただ大きい屑を出さないのと、向こう側の空間に貫通する前に細々と手前に屑を抜き出して、都度パーツクリーナーでドリルの屑も流します。
とにかくエンジンを下ろそうが下ろすまいが、クラッチ周りにその切削ゴミがつくと非常に厄介なので薄手の布を周りにパンパンにつっこんで養生しています。これでこの切削を行う流路以外に削りカスはつかないはず。で、2.5mmのドリルでゆっくり削っていきます。
ちょっと削っては見て、を繰り返して突き抜けるちょい手前でゴミが全く付着していない状態にして、そっと貫通させたら、そっとドリルを抜いて掃除をします。オリフィス穴を直接吹かないようにししつつ、パーツクリーナーで周りのゴミを布に流し出しました。もちろん手前にバイクを傾けてクリーナーがー流れ出る状態にしてケチらずに吹いて掃除しています。
ということで切削完了。ちょっとバリが見えますが、ドリルビットで掻いても取れなかったのでオイルの流れで取れることもないでしょう。2.5mmでも相当狭いと思うんですが、パーツメーカーの指定なのでこれで組んでいきましょう。
この後オイルクーラーも同時に取り付けていく加工をするんですが、その加工をしていくクラッチケースカバー側の流路を見ていくと、エンジンから戻ってきたオイルが、オリフィス穴を通って高温で戻ってきて、上の画像のような細い流路を通っていき、途中でオイルクーラーへ送ってオイルが冷やされ、オイルポンプへ送られるようですね(取説的にはそう見えるが、流れる方向合ってる?)。つまりエンジンから降りてきた熱いオイルを送る要がこのオリフィス穴なんです。大きなオイルクーラーをつけようと、オイルはこの2.5mmの穴から流れると思うと、大丈夫かなと不安になりますね・・・。
さて、Oリングの到着待ちになってしまったので強化オイルポンプの取り付けは後にして、次にオイルクーラーへの流路を確保するため、クラッチケースカバーを加工していきます。もちろんDIYで。