旧車の点火系で重要な役割を果たすのがディストリビューター、通称デスビ、つまりは各気筒に適切なタイミングで電化電圧をかけるための分配器です。まぁしかしトラブルの原因になりやすいのもこのデスビかもしれません。構造が結構物理的にシンプルと言うか、
「それでいいんだっけ?」
というような消耗していくであろう接点構造をしていると思うんです。ローターが高速回転しながらその回転部先端の金属端子が、エンジンの気筒数だけ設置された端子に非接触でスパークを飛ばす構造のようです。さすがに高速回転する中で端子同士は非接触でスパークが飛びますが、それでも高電圧の中で次第に摩耗していくようです。この辺りが消耗品たる点ですね。今回はうちのてすたろー(フェラーリテスタロッサ)をのデスビを開けて初めて状態確認をしていこうと思います。
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デスビカバーとキャップを外して、まずはコンディションを確認する。
つゆだく(うちのローバーミニ)も旧車とはいえ最終型なのでインジェクションなので点火タイミングは電子制御されています。なので僕はデスビのメンテ自体は初めてなんですよね。
まずテスタロッサは12気筒、そして左右のカムシャフト直結で2つのディストリビューターが設置されています。まずはゴム製のカバーを外しますが、これですらかなり高額な部品になるので無理に引っ張って破ったりしないように注意が必要です・・・。なので両手で奥からそっと剥くように少しずつ引っ張って無理な力がかからない程度にコード上をずらして避けておきます。ちなみにこのカバーがデスビキャップに直接水がかかったり、ましてや浸水したりしないよう防いでくれているので破れると厄介です。
そしたら固定されているボルトを確認。外周に沿って3本で留まっていますが、マイナスネジですね。あんまり広いスペースではないので小型のマイナスドライバーを使ってみたんですが、結構かっちり締まっていて動きません。なのでラチェットが必要です。それも超小型がいいですね。マイナスネジ用のソケットって持ってないことが多いかもしれません。
僕はなんやかんやで小型のラチェットセットを重宝していて、プラスマイナスのソケットもついていますし、作業中にこういった狭いスペースに出くわすことはちょくちょくあります。
ねじ山を舐めないように左手でラチェットの頭をしっかり押さえながら右手で回して外していきます。一度緩んでしまえば指でくるくると回して外せました。
これを3本行うんですが、1箇所はプラグコードの束が邪魔になるので、コードに無理な力がかかったり傷つけたりしないよう気をつけながら工具を差し込んで外します。
で、ぱかっと。結構汚れが溜まってますね・・・。
デスビの中には灰のような汚れが溜まるもの。定期的に掃除した方がいいみたい。まずはデスビキャップ側の掃除から。
キャップを開けると重力に従って下の方に灰のようなカスが溜まっていました。指で触ると粉末状に砕けるのが灰っぽいですよね。先ほど書いたように物理摩耗はほとんどないはずなので、高電圧により酸化?した金属端子部分がカスになってこうして溜まるんなじゃいかなーと思います。たぶん。
とりあえず周囲を汚さないようにそっと布に裏返して汚れを出したら、あとは歯ブラシとか濡れたペーパーなんかで掃除しておきました。あとはキャップ側では中心の黒い端子の状態を確認。ここはローターの金属端子に物理接触して回転摩擦にさらされているので、異常摩耗していなければ大丈夫です。それと周囲のネジ式の金属端子、これはねじ込んだ先で各プラグコードに突き刺さって接続されています。なので方バンク6気筒分。そしてこの金属端子は非接触なのですが白っぽいというかザラついたカスが溜まっていたら良くない状態です。これがスパークを妨げ点火電圧を下げるので、ついているようなら除去します。
端子は円の一部が欠けた構造になっていて、その欠けた面が中心を向くようにセットされます。その欠けた面がよく見るとザラザラっとしたカスがこびりついていました。量は多くないですが、これはマイナスドライバーで優しくこそげ取るかサンドペーパーで最低限削り落としておきます。デスビのメンテナンスというのは状態確認と、この溜まった汚れをとっておくことが重要な作業ですね。
もちろんあんまり状態が悪ければ部品交換です。それと内部はしっかり乾かしてから閉じないとスパーク不良を起こすので気をつけてください。
次にデスビローター側。ローターは最も消耗しやすく交換が発生しやすい部品なので、あまり状態が悪ければ交換する。
次はエンジンについている土台、つまりローター側の状態確認です。まず何より樹脂のキャップと違って土台は金属製なので、度重なるスパークでカスが結構ついていますね。これは掃除できる範囲で掃除しますが、結構こびりついているので削り落とすことはしませんでした。端子以外は機能に影響しないと思うので。こちらは繊細ではないのでブラシで取れるカスを書き出しておきました。
次に肝要なのがローター、つまり先端の回転部分のことです。これがカムシャフトと同軸でぐるぐる回り、先ほどのキャップ側の端子に順番に配電します。可動部分なのでこいつが一番消耗が激しいはずです。
よーく見るとわかるんですが、先端の金属端子のエッジに同じくカスがこびりついてますね。これを優しくサンドペーパーで削って落としておきました。まぁどこまで行ったら要交換なのかはなんとも言えませんが、見た感じは結構老ぼれてきているようにも見えますね。安く手に入るタイミングがあれば交換部品を仕入れておこうかなと思います。
最後に気持ち程度に接点復活剤を吹いてみた。あとはブッシュの状態も見ておく。
掃除が終わったのが以下の状態。土台の方は汚いように見えますがキリがないので一旦よし。
それともうひとつ、回転部分でエンジンから軸が出ているので、オイルなどが出てこないよう回転の根元に黒いリングブッシュが入っています。こいつが劣化しているようなら要交換ですが、デスビキャップ内がオイルで汚れていなければ問題ないということですね。
あとは元通りキャップを戻していくだけですが、ちなみにキャップのネジは落ちないようになってるみたいです。助かるー。
ねじ込みですが、デスビキャップの設置面にはガスケットはないので、水が入らないようきっちり閉めます。3箇所なので均等に順番に締めるんですが、キャップが樹脂なので強く締め込んでヒビを入れたりしないように注意。
あとはカバーを戻して終了ですね。カバーは奥までしっかり被せます。でないと肝心のデスビキャップの継ぎ目が隠れずに、水が入ってしまうと点火不良を起こします。
とりあえず右側は完成。続いて左側も作業していきましょう。