11月の話ですが、秋に入ってガレージでエンジンをかけたら、かけたてはかなり弱々しく、一度すぐにストールしてしまいました。もう一度かけ直しても不安定で弱々しかったのですが、何とかアイドリング状態を維持できていたので出発することに。
僕はテスタロッサをガレージから出してから静かな住宅地、しかもすれ違いもできない狭い道路を抜けていく必要があることから、大通りに出るまではほぼアイドリング状態でクラッチをつないで走っていくのですが、なんかいつもより弱々しくて坂道発進ではストールしてしまいそうなほど。
そして通りに出て少しアクセルを踏みだしてみたのですが、「あれ?アクセル踏んでも加速していかない。。」と思った次の瞬間にエンジンの音が変わってガツンと加速したので、「あ、これが片肺状態(片側のバンクだけしか燃焼していない状態)だったのかも」と気づくことに。まぁ一度燃焼しだしてしまえば、ガソリンがカブリ気味でも、オイルが燃焼室に滲んでいたとしてもある程度の回転数でエンジンを回せば(アイドリング状態だったり、すぐにエンジンを切ったりしなければ)、それらは燃えてしまって解消すると思います。僕もこれで走り始めてしまえばアイドリングの不安定さも、再度エンジンをかけた際の片肺現象も発生しませんでした。一定速度で高速を走っている際のエンジンの落ち着いた感じは全く快調に感じます。
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2年近く一緒に過ごしてみて、状態が悪いとか扱いづらいとかではなく、ただセンシティブなだけなんじゃないかと気づく。
てすたろー(うちのテスタロッサ)と過ごし始めてもうすぐ2年経ちます。めちゃくちゃ乗ってるわけではないですが、コレクション車両でもないですし、どちらかと言えばコンディション維持のためにも普通に乗るようにはしています。梅雨から夏の終わりまでは外に出さず、たまにオイルを回すためにガレージ内でエンジンをかける程度ですが、あとのシーズンは割と気にせず乗ってますね。
そんな真夏以外のシーズンを乗ってみてわかってきたのですが、「季節の変わり目は不調を起こしやすい」気がします。僕の場合、不調と言っているのはアイドリング不調のことで、吹け上がりだとか高速走行時に何か不調を感じたことは今のところないですね。
アイドリング不調で起きるのは、
- なんかやたらアイドリング回転数が高い(1,200rpmぐらいになったりする)
- アイドリング回転数が低めで、交差点で止まるときなどクラッチ切るとストールすることがある
という、要はアイドリングが高すぎるか低すぎるかってことですね。
特に困るのは後者のストールの方で、クラッチをスパッと切るとエンジン回転数が下がっていってアイドリング回転数で止まると思いきや、そのままアイドリング回転数を下回ってエンストします。交差点のたびにこれは結構大変ですし、ストールしないように半クラッチのようにゆっくりクラッチを切っていく必要があります。
でも毎回アイドリング吸気バルブを調整すると解消する。なので不調ではなく、気温によってアイドリング調整するのが普通な気がしてきた。
そういう状態になったときの対処法は、KEジェトロにおけるアイドリング時の吸気量調整です。今のところこれで解決しているので、まずこれを試すようにしています。もちろん片バンクが燃焼してないとかは別問題ですが、基本的にアイドリング回転数の高め安定/低め安定は燃料供給量と空気供給量の2つで決まるんじゃないかと思っていて、燃料供給量の調整ができない(というか計器ナシでやれない)のであれば空気供給量で調整するのがこの車です。
調整方法は以前記事にしたこちら。
テスタロッサ:Kジェトロニックの吸気量調整スクリューを回して、アイドリング調整をしてみる。これでクラッチを切った時のストールをなくす。
時折こういった問題が起きるのですが、2年過ごしてみて
「これ季節の変わり目に起こってる気がする」
と思うようになりました。季節で変わるものというと主には気温だと思うので、
「もしや気温によって気体の体積(一定吸体積あたりの酸素分子密度)が変わるとアイドリングが変わるってことなの?」
と考えるようになりました。それなら高回転だと勢いもあるのでそれほど問題にはならないですし、アイドリング吸気バルブの調整で解決するのも合点がいきます。とするとテスタロッサにとってこれは不調じゃなくて気温に応じてアイドリング調整するのがお作法なのかもしれません。確かに取説にもちゃんと調整方法が書かれてますしね・・・。
たしかにこの秋になって気温が下がり、てすたろーのアイドリング回転数は1,200rpm近くで高止まりしていました。寒くなると吸気体積あたりの酸素量が増えてアイドリングが高くなったってことですね(逆に春先はアイドリングが低くてストールした)。考え方はシンプルな高校化学ですが、ここまで如実に影響を及ぼすとは面白いものです。
その一方で
「本当にそんなセンシティブなものなのかなぁ・・・」
と疑いもあります。だってバブルの頃はテスタロッサを六本木とかの渋滞の中街乗りに使ってたわけですし、彼らがそんなこまめにアイドリング調整なんかしてたイメージが湧かないですから。まぁお金など気にせずひっきりなしにディーラーに突っ込んでたのかもしれませんが。。なんか僕にはテスタロッサ=バブルの芸能人が街乗りに使ってたイメージが結構強く(ちなみに僕はバブル世代でもないし、当時親も田舎に住んでたのでバブル感薄い)、それが”都心でも街乗りできるぐらいでないと情けない”という変な強迫観念に繋がってるかもしれません。笑
とはいえ今では単純に「てすたろー(テスタロッサ)は気温にセンシティブなんだ。季節の変わり目に風邪ひくやつと同じだ」と思うようになって、いちいちアイドリング不調に対して不安になったり疲れたりすることはなくなりました。ポジティブに言えばまた仲良くなった気がします。笑
そもそもテスタロッサのアイドリング回転数は高い。そりゃあ燃費悪いわけだ。
テスタロッサの標準アイドリング回転数は900~1,100rpmと結構高いです。エンジンコンディションなどにもよると思いますが、900rpmぐらいに調整すると結構弱々しい感じがするのと、ストールに気を遣うようになってしまうので僕は1,000rpmを基準に調整をしています。
それこそ普通のクルマではたとえデカいエンジンであっても900rpmよりもっと低い回転数で、なるべく静かに、そして低燃費な設定になっていますが、それは緻密な電子制御のなせる業ということなのかもしれません。テスタロッサなんて電子制御入ってないに等しいので、めっちゃデカいV12エンジンを、日本の激しい気候変動の中で回すのは僕が思っている以上に難易度の高いことなのかも。もちろん細かに調整し続ければどのシーズンでも安定してエンジンは回ってくれますが、年間通じてワンセッティングというのは前提がおかしいのでしょうね(電子制御は吸気温度から緻密に燃料噴射と吸気量を制御しているハズ)。
いつも思うのですが、特にエンジンが温まる前のテスタロッサはドッドッドッドッとアメリカンバイクのようなあまり整っていない、エンジンを回すのが重そうなアイドリングをします。1,000rpmもあるくせにやたら回転が遅そうな感覚に襲われますね。なので僕ですら購入当初、
「なんかエンジンをかけても旧アメ車のようで、甲高いフェラーリサウンドとイメージが違う・・・」
と感じていましたが、これが走り出した回転数になると急に回転芯が取れたようにきれいに回り出し、高回転に行くにつれ突然違う生き物になるんですからクラシックフェラーリとは不思議なものです。
今でも思い出すんですが、大学生の頃飲み会に向かう新宿歌舞伎町の大通りで、交差点を曲がってきて歩行者を待つF355がいて、その不安定でバラバラしたアイドリング音から「古いフェラーリって今にもエンジンが止まりそうでひどいもんだな」と思ったことがあります。でも歩行者が途切れてF355高回転まで上げながら走っていったとき遠吠えのような甲高い音がビル群の間に響いて、なんであのエンジンからあんな音がするんだと鳥肌が立ったんですよね。もちろんV12テスタはV8 F355とは音質が違いますが、あのアイドリングからは想像もできない音がするフェラーリのエンジンは、噂通り何かが違うんだなと記憶に刻まれました。