今回はローバーミニの97年エアコン付きモデルのファンベルト交換をDIYでやっていきたいと思いますが、前回までにベルトカバーを外したりなどをして準備を進めてきました。今回は難題のテンションプーリーを緩める作業と、ベルトをファンの隙間から外す手順について書いていきます。
前回までの記事はこちら。
このページのもくじ。
固着して外れなかったテンションプーリーが緩んだことで今回ベルト交換に着手できた。ちなみに固着したボルトを折ると新品交換部品がないらしい。
ということで作業に戻ると、次にテンションプーリーの位置を固定しているナットを緩めます。なぜかインチだと具合が悪く、ここは13mmのソケットで回します。下の画像は小型ラチェットがプーリーの固定ナットにはまっているところです。
これが案外嫌なところで、
- ロングナットなのでボルトとの設置面積が広く、固着した時に容易には緩みづらい
- 工具を入れるスペースが狭く、ラジエーターを外さずに作業するなら小型ラチェットなど都合の良い工具が必要
- 無理してボルトが付け根から折れることがよくあり、しかも新品の部品供給がない
という3重苦が待っています。。つゆだく(うちのローバーミニ)も固着してしまっていて、これまで何度か小型の工具で何度粘ってもナットが緩むことはありませんでした。小さい工具だと持ち手が短いのでテコの原理が弱いんですよね。もちろん10回ぐらいラスペネ(固着を緩める浸透剤)を吹いたのですがそれでもダメでした・・・。さすがにロングナットになると奥までラスペネが浸透できないのだと思います。ラスペネ自体は効果があるのでDIY屋は持っておいた方がいいですね。
最初にも書きましたが、ここをショップの作業で緩めてもらったので今回は作業に至ることができました・・・。感謝です。
このテンションプーリーがどうしても緩まなければ最後は力技しかないのですが、そこまでやる場合は中古でこのテンションプーリーの軸というかアセンブリを用意しておいたほうがベターとのこと(折れたら替え部品が見つかるまでは走行不能)。そしてこの部品は新品の入手ができないので中古を手に入れるしかないのですが、となると安定して買えるわけではないということですね。
テンションプーリーを緩めるロングボルトは4角、でも1/2インチ6角ソケットを車体裏から伸ばせばなんとか回せる。
テンションプーリーの位置を固定しているナットが緩んだら、次にテンションプーリーの位置を移動してベルトを緩めます。これは後で載せている画像で見てもらうと分かる通りテンショナーの位置を決めるためのロングボルトを回して緩めます。ネジを閉める方向に回すとテンショナーが下に降りてきてベルトが緩みます。ちなみにテンションプーリーの固定ナットを緩めないままこの調整ボルトを回しても、ボルトは回るもののテンショナーは動かず、部品を破損する可能性があるのでやめた方がいいです。
またまた厄介なことに、このプーリー位置を調整するボルトの頭が4角なんですよ。「なんで、、そんな変なことするん、、、」と言いたくなります。一般的なソケットレンチ用4角のサイズとも合わないので、モンキーレンチで回すのが良いかなと思いました。
でもATミニの場合、その調整ボルトの頭を掴むためにはオイルフィルターケースがめちゃ邪魔です。そう思って前回はオイルフィルター交換のタイミングでベルト交換もしようとしたのですが、そのときは結局ナット固着で結局オイルフィルター交換だけになりました。今回はフィルターを外さずスペースが激狭なせいでちょっとずつしか調整ボルトを回せないですが、コツコツ回して緩めることにします。
そしてモンキーレンチで試したのですが、それをちょっとずつも回すスペースがないことがわかります。仕方がないので片っ端からソケットを引っ掛けていくと、1/2インチ6角ソケットだとサイズ的に4角のボルト頭に無理やり引っ掛けられそうなので、サブフレーム裏からエクステンションとユニバーサルジョイントも駆使して、ラチェットでテンションプーリー調整ボルトを緩めるのが楽です。ある程度緩むとあとは手でも回りました。
これでベルトが緩んで各プーリーから外せるようになります。テンションプーリーが手前というが下方に降りてきたことによってベルトが緩んでるのが分かります。
これまではそもそもまずこれを緩めるに至らなかったので、ようやく進展があった感じがします。これであとはベルトを差し替えるだけ?いやいや、しかしまだ難関があるんです。
ラジエーターを動きやすくするために、サーモスタットとラジエーターを接続いている三角プレートを外しておく。ちなみにベルトをはずすときは切るのが一番早い。
本来の理想的なベルト交換作業では、ファンベルトの近くにあるラジエーターをまるごと取り除きます。ということはクーラントも抜かないといけないですね。するとラジエーターにピッタリの近距離で隣接していたラジエーターファンが露出し、取り外しができるようになります。このファンはベルトで駆動しているウォーターポンプと同軸なので、ファンを取り外すとプーリーからベルトがサラリと外れるわけです。しかしラジエーターを残しているとファンを外すスペースがないので、ベルトの輪をファンがくぐるようにしなければベルト交換ができないというわけです。
がしかし。このファンはラジエーターに埋まるようにして近接設置されているので、そう簡単にベルトの輪をファンベルトがくぐるスペースがありません。だからファンの羽1枚ずつ、狭い隙間で硬いベルトを通していくことになります・・・。これが一番大変で時間もかかりますね。
でもラジエーターを完全に取り外すのは結構大変なので、今回は大変承知でこの方法で進めます。というかまず、外すときだけはベルトを大きなハサミなどで切断してしまうのが一番早いです。笑 ただ今回は外す隙間がなければ戻す隙間がないだろうというビビリな考えで、わざわざ切らずに外してみることにしました。
ただしラジエーターとファンの羽の隙間を広げるために、エンジンブロックとラジエーターを繋いで固定しているステーを取り外します。ラジエーター側の2本のボルトは7/16インチ、サーモスタットの土台に固定されているナットは1/2インチで外れます。
こうしてステーを外すと、手で車体の外側方向にラジエーターを押すとちょっと傾くようになります。もちろんあんまり無理やり押すのは良くないんですが、ちょっと動いてくれるだけで全然作業性が変わってきます。それとラジエーターヘッドとサーモスタットをつなぐホースも外した方がラジエーターが動くようになるのですが、僕はそこまでやらずとも作業できました。
ようやく本題のベルト外し。極力余計なものを外さずに作業するならファンの羽に1枚ずつベルトを通して交換するしかない。
こっからはうまく言葉で説明するのが難しいんですがねー、、ひとまずいろんなプーリーにかかっているベルトを外して、ラジエーターファンの軸だけに引っ掛かっている状態にします。下の画像のような状態です。
もしラジエーターがないとしたら、単純にファンをぐるっと避けてベルトを外しますよね。やることはそれと同じなんですが、ラジエーターとファンの狭い隙間でそれをやるだけです。通す方向を間違えないように、どうしたらベルトが外れるのかは考えながら作業しないと途中でよくわかんなくなります。
まぁなんというか、黄色いファンの向こう側、つまりラジエーター側にベルトを押し込んでいくわけですね。ただラジエーターの細かいフィンを潰さないようにだけ注意してください。風が通らなくなります。
そして最後に上の画像のようにファンとラジエーターの隙間からベルトを抜きます。力任せに引っ張らずに、ここでラジエーターをファンと反対方向に押して隙間を広げながら丁寧にベルトを外します。これでようやく摘出完了です!
次回はようやく取り付け編ですね。。