今回はユーザー車検に向けてつゆだく(ローバーミニ)に事前準備を進めていきたいと思います。もちろん測定器がないので正確な事前測定はできませんが、それでも目検や調整である程度の事前確認をすることができます。それとローバーミニはそのまま持っていくと車検場で引っかかるリスクがある、もしくは手間がかかる箇所があるので、それらは事前に調整をしたいと思います。
前回までにフォグライトなどの取り外しや各種動作確認を行なってきました。今回は一番手間と時間がかかるハイローキットの長さを調整することで車高の調整を行なっていきたいと思います。
前回の記事はこちら。
このページのもくじ。
車検準備一番の大仕事。最低地上高を上げるためにハイローキットで車高の調整をする。車検ではダサいぐらいに車高を高くしておいた方が安心。。
さてここまでは点検や部品外しはチョロかったのですが、ここからが面倒で時間のかかる足回りと下回りの作業。もはや車検の準備と言えばほぼ車高の調整を指すようなものです。。
ローバーミニで車検に引っかかる代表的なものといえば最低地上高。これまでも測定されぬまでも必ず下回りを覗かれました(パナメーラやミニJCWで覗かれたことはない)。他の2台をユーザー車検に通した時の記事はこちら。
ミニJCW:自分でユーザー車検に持ち込んでみる。一度落ちるも5万円で済むなり。
パナメーラ:自分でポルシェをユーザー車検に持ち込んでみる。~事前準備編~
これは設計的な問題で、ローバーミニはダウンパイプやマフラーのタイコあたりが非常に出っ張っており、地面からの高さを確保できません。しかも純正通りラバーコーンを使っている場合、経年でだんだんとゴムが潰れて車高が下がってきます。これを突っ張り棒と同じように長さを伸ばして車高を上げるのがハイローキットの役割で、ラバコンユーザーにはもはや必須に近いアイテムです。
ローダウンして乗っているつもりがないミニでも、ユーザー車検においては車高を高めに設定しておくと安心です(引っかかってからその場で調整するには手間がかかりすぎる)。つゆだく(うちのローバーミニ)はラバコンからスプリングに換装していて、しかもバネレート柔らかめで今や普通車のように乗り心地が良いのですが、その分段差で深くストロークするのでフェンダーにタイヤがぶつかりやすいです。これを防ぐためにフェンダーとタイヤのクリアランスをある程度広くする必要があり、車高は低く設定できません。まぁそんな状態でも一応車検に際してはこれでもかと車高を上げておきます。
この作業がなぜ面倒なのかというと、リフトでもない限り1輪ずつジャッキで上げてホイールを外し、ハイローキットの長さを調整しなければならないからです。しかも車検終わったら元に戻す作業もあるという・・・。
右リアから作業。現在の車高とハイローの設定値も測定しつつ、ハイローを伸ばす長さを決める。
とりあえず現在の車高の記録から。といってもホイールアーチのどこで測るかによって変わってきてしまうので大まかな値です。なるべくアーチ頂上で測定しているのと、タイヤはすり減って高さ(厚さ)が変わってしまうのとタイヤの銘柄を変えることもあるので、ホイールまでの幅を測定するのがいいですね。僕はYOKOHAMA A539のタイヤしか履かなそうなのでタイヤのサイドウォールまでで測定。
上の画像はフロントですが、誰も乗っていない状態で左右は1mm違いがあるものの大体同じ。続いて下の画像はリヤ。リヤの方がフロントより10mmぐらい高いですね。以前スプリングに入れ替えたときにリヤのほうがフェンダーに当たってしまうことが多かったのでリヤの方が若干高めにしたのだと思います。リヤとフロントそれぞれラバーコーンをスプリングに交換した時の最初の記事はこちら。
ローバーミニ:リヤサスペンションをラバーコーンからスプリングに交換してみる。~前編~
ローバーミニ:フロントサスペンションをスプリングに交換する。~テンションロッド編~
つゆだくに空力云々言うつもりはありませんが前傾姿勢ということです。笑
いったんこれを記録しておき、リヤから作業に入ります。ホイールナットを緩めてジャッキアップし、ホイールを外せばハイローキットにアクセスできます。ハイローキットは突っ張り棒のような構造になっていて、ネジになっている軸を回して長さを調整することでそのまま車高を調整できます。
ローバーミニ:フロントサスペンションをスプリングに交換する。~最後に車高調整せねば編~
ロックナットを緩めたら軸に固定されている長さ調整ボルトを回して長さを変えます。ここは作業スペースが狭いので僕は小さめのモンキーレンチを使用しています。力は必要ですが、大きな径のボルトなので舐めることはありません。とりあえずこちらも現在の設定値を記録。ここは以前設定した値を記録してあったのでそれと大きくズレていないか確認という感じですかね。
僕は上の画像のようにロックナットを除いたネジ露出部分の全長を測っています。いい加減100均のプラノギスはやめてちゃんとしたノギスを買わなきゃな・・・。この時ぐらいしか使わないもんで。笑 測った感じでは記録していた設定値と同じ長さになっていたので問題なし。
リヤはとりあえず5mmほどハイローキットを伸ばしていきます。ハイローを伸ばすということはスプリングを縮めるということなので、回すボルトが結構硬いですね。またハイローを伸ばすとその長さ分だけ車高が上がるのではなく、ハイローを伸ばした分に比例してもっと上がります。どれぐらい上がるかは一度ハイローキットを固定してホイールを取り付け、地面に下ろさないとなんともわからないところがこの車高調整の面倒なところ。。
ただ車検後に元に戻すときは、事前に測っておいた元の長さにハイローを戻せば細かい調整をしなくても良いということです。
リヤをジャッキアップしたついでに下回りをチェックする。特にローバーミニはパイプ類をぶつけて破損しやすいのでよーく確認。
右リヤが終わったら左リヤも同様の作業をします。そしてリヤを持ち上げたついでに下回りのチェックもしておきます。車検には関係ないですがボディやサブフレームなどに錆がないかライトで照らしながらよく点検。下回りは錆びやすいですからね。。僕は購入時に下回りの錆止め塗装をしてもらっていることもあって特に錆びそうな箇所は見つからず問題なし。
それとマフラー周りも破損がないか確認します。フロント側から見ていくと、エンジン下のアンダーガードすぐ後ろにダウンパイプが降りてきています。そのメッシュ部分が飛び出しておりぶつけやすいポイント。つゆだくもメッシュがちょっと破れていますが穴までは見えていないのでセーフかと思います。
そして触媒前後のパイプ接続部分にガタつきがないか見て、最後にマフラーのタイコ。このタイコが第2のぶつけやすいポイントで、ボディ床の下にそのまま太い円形パイプなんかつけるのでめちゃくちゃ最低地上高が低くなります。つゆだくもここは昔にぶつけていて指差しているところに凹みがありますが、穴は空いていないので車検はセーフ。この辺りはフラップ式コインパーキングの台座にぶつかることが多いので注意が必要です。
それと潜ったついでにマフラーの吊りゴムもヘタってないか見た方がいいですね。吊りゴムはタイコの前後で2箇所ありますが、奥の方はヒビとか伸びもなく交換の必要はないようです。マフラーエンド側はこの前新品に交換済み。それと車検向けというわけではないですがブレーキホースやサイドブレーキのワイヤー、バッテリーからの配線など一通り劣化などないかチェックしておきます。見た感じはひととおり問題なし。
リヤのハイローは1mm上げると車高が4mm上がる。車高爆上げによってどこの駐車場にも入れるようになったみたい。
これでリヤ2輪とも車高を爆上げしたので地面に下ろして最低地上高を見てみました。
特に測定する手段がないので拳を入れてみたのですが、明らかに最低地上高が高いことが分かりますね。拳の高さが約8cm、保安基準では最低地上高9cm以上なので、これなら車検も余裕で通ります。
しかしここまで上げると、これまで諦めていた(もしくは下を覗きながら駐車可能か見定めていた)コインパーキングもパレットパーキングも余裕で入るようになりそう。つゆだく(うちのローバーミニ)はそのコンパクトサイズからどんな住宅街も脇道も入って行けて都内最強レベルだと思っているのですが、最低地上高が低いことが原因で唯一制限されるのが駐車場(しかも都内はフラップ式コインパーキングとパレット式比率が他エリアよりかなり高い)。これが解消されるとかなり利便性が高まると言えますね。ただ腰高で不格好な見た目になってしまうという、大きなトレードオフに我慢できるかどうかですね・・・。笑
ローバーミニ:マフラー替えようかなと思ってきた。理由は最低地上高を上げてパレット駐車場に入りたいから。
- 右リヤはハイローが36mm→42mm(+6mm)、車高が76mm→102mm(+26mm)
- 左リヤはハイローが38mm→42mm(+4mm)、車高が78mm→103mm(+24mm)
という調整結果になりました。一概には言えませんがリヤはハイローを1mm伸ばすと車高が4mm強上がるという感じですね。
フロントのハイローは1mm上げると車高が12mm上がる。それと車高を測るときはタイヤを転がした後でないと正しい車高が測れないのに注意。
続いてフロントの作業に移ります。これも調整方法は全く一緒で、ジャッキアップしてホイールを外しハイローキットを伸ばします。ただしリヤのハイローキットはプッシュロッド式のように横に寝ていて、フロントは地面に垂直方向に設置されています。そういう構造的なものもあって、リヤと同じだけハイローを伸ばせばいいというわけではありません。
とりあえずリヤと同じようにフロントも5mmハイローを伸ばしてみると、リヤよりフェンダーとタイヤの幅が大きくなりすぎ(上がりすぎ)てしまったので、再度やり直して元から3mm伸ばした状態にすることに。
- 右フロントはハイローが24mm→27mm(+3mm)、車高が66mm→103mm(+37mm)
- 左フロントはハイローが24mm→27mm(+3mm)、車高が67mm→104mm(+37mm)
という調整結果になりました。フロントもハイローのネジ部分の長さを下の画像のように測っています。
フロントはハイローを1mm伸ばすと車高が12mm強上がるという感じで、フロントの方が一気に車高が上がることになります。ハイローの製品やバネレートによって違うと思うので、ミニスペアーズ製のハイローを使っている僕の場合はこうだったという参考値です。
それと最後に書くこれがめちゃくちゃ大事なのですが、ジャッキアップしてタイヤを浮かせて下ろすとタイヤの接地が通常と異なり車体の内側に偏ります。これによって正しい車高にならず若干高めの状態になるので、測定する際にはジャッキから下ろした後に多少車体を前後させて、さらにシートに腰掛けて車を軽く揺すってから測っています。これでタイヤの接地の偏りが取れるのとサスペンション周りが軽く馴染むので、車検に行った時と同じ”通常の車高状態”になります。
車高爆上げ後のフロント。もはやフェンダーアーチの曲線とタイヤの曲線が合ってなく、「ラリーでもやってるんすか!?」というぐらいひと目ですごい車高高い感じがありますね。
前傾姿勢を水平にしつつリヤで平均25mm、フロントで37mm車高が上がったので結構変わっています。実際に運転席に乗った状態からドアを開けて片足を出すと、いつも地面に足裏が着くはずの高さに地面がなく、地面が遠くなったことで一瞬体のバランスを崩したほど。しかしこれぐらいの高さになると(元々座面が低かったため)結構乗り降りがしやすくなって、
「よっこいしょっ」
という踏ん張りが減って立ち上がりが楽になります。普段生活に使うなら駐車場も乗り降りも、車高が高い方がメリットが多いかもしれんな・・・。
いやーサラッと書きましたが4輪それぞれ車高を調整して、さらにフロントはリヤの高さに合わせるために2回やり直しているので結構作業時間がかかりました。。この車高調整作業がメインではありますがまだこれで終わりではなく、次回ブーツ類の点検とアライメントの調整をしていきたいと思います。