このブログでもかなりアクセス数が多い記事が、昔にアップした「ローバーミニ:DIYでオイル交換してみる。」という記事。
最近の車はオイル交換すら自分でやりづらい複雑な構造になってしまい、さらにコンピューター上でオイル交換タイミングのスケジュールリセットが必要だったりします。でもローバーミニはまったくもってシンプルな構造ですし車体裏に潜る必要もないので、DIYでオイル交換してみるには向いているといえます。さらにはエンジンオイルとミッションオイルを同じオイルで循環させているという特殊な構造ということもあって、オイル交換の頻度が高いのも維持費の観点では悩みどころ。毎回ショップに持って行ってオイル交換をしてもらうとそれなりに時間もお金もかかるので、オイル交換にアクセスが多いのは自分でササっと交換したい人が多いのかもしれません(僕もそれ)。
今回改めてオイル交換の手順と、オイルフィルターについてはATにおける交換手順を書いていきたいと思います。オイル交換はDIYの入り口になることも多いので、なるべく画像多くわかりやすく書いていきたいと思います。そのため長ったらしい記事になっちゃいますがご容赦ください。
ちなみに今回はオーバーヒートしてしまったので本来タイミングではなかったのですがオイル交換をします。オーバーヒートは程度にもよりますが通常以上の熱がオイルにかかってしまうと本来の性能が損なわれるからです。前回までのオーバーヒート修理はこちら。
このページのもくじ。
ローバーミニのオイル交換頻度は高く、3000km走行もしくは半年。
まずはオイルの交換頻度についてですが、一般的にはローバーミニのオイル交換頻度は「3,000km走行、もしくは半年のどちらかに達したタイミング」と言われています。オイルは走行することによってエンジン内の摩擦で発生した金属粉やカーボンスラッジを取り込んで汚れていき、さらに熱にさらされ続けることによって粘度などの本来の性能が下がっていきます。それに加えて走行しなくても、空気に触れ続けることで劣化をするので走行距離と期間の両方で交換時期が規定されてるということですね。
それとオイルの汚れを物理的に濾し取るオイルフィルターも、「オイル交換2回に1回の頻度」で交換と言われています。フィルターは走行しなければ劣化していくものではありませんが、僕も基本的にオイル交換2回に1回フィルター交換をするようにしています。このオイルフィルターはMT車とAT車で構造も交換部品も全く違うので、作業前にフィルターを購入する際には気をつけてもらえればと思います。
それと交換とは別ですが、オイルは減っていくものなので定期的にオイル残量をチェックして減ってきたら交換時期でなくとも補充をします。特にローバーミニの場合は「オイルは多少漏れるものだ!はっはっは!」みたいな世界観もあるので、オイルの滲み出る具合によって減っていく量も違います。どこかのガスケットから滲み出るなぁ、という程度なら時折オイルを補充しながらで十分乗れます(もちろん修理した方が良いには良いですよ)。つゆだく(うちのローバーミニ)はアンダーガードが油っぽくなるなるかなぁ、という程度でそこから垂れるようなオイル漏れはなく、よってオイル交換以外でオイルを追加補充したことはこれまで2~3回しかないと思います。逆にポルシェは漏れてなくても結構オイルが燃えて減っていくので、結構乗る人はオイル交換のタイミング以外にも補充が必要になったりします。
まずはオイル残量のチェックと、その他オイル漏れがないか確認するところから。
さて、ではまずオイルを抜くところから作業していきます。
と言いつつオイルを抜く前にコンディション確認から。エンジンルームを開けてオイルレベルゲージを引き抜き(オイルが垂れるので不要なタオルを添える)、一度拭いてからもう一度差し込んで引き抜き、オイル残量を見ます。教習所で習った通りですね(今の車はオイルレベルゲージがついてないから、もうこの儀式はないのかも)。
いきなりピンボケですいません。。Maxの位置ぐらいにオイルが入っています。基本的にはオイルが付着している境目がMaxとMinの間に入っていれば大丈夫ですが、僕はオイル交換時にMaxから+5mmぐらい多くオイルを入れるので、多少Maxを超えていてもヨシとしています。
普段のオイル残量チェックもそうですが、オイルがガンガン漏れていると漏れた場所によらずオイル量が減っていくので、前回オイル残量を見たときから今回でどれぐらいオイルの量が減っているか見ます。健康なミニなら前回のオイル交換からトータルで5mmもオイルレベルゲージが減らないと思います。ちなみにオイルはエンジンやミッションの外部に漏れるだけでなく、燃焼室に漏れて燃える(マフラーから白煙が出る)場合もあるので、単純に車体裏を覗き込んでオイルが漏れていればOKとするのではなく、オイルレベルゲージもチェックしてください。
もちろんオイルレベルゲージを見るだけでなく、ちゃんとエンジンルーム下やロッカーカバーなどをよく見てオイル漏れがないかもチェックすれば万全です。
オイルの抜き出しには上抜きと下抜きがある。簡易交換でなければ、通常は下抜きで古いオイルをしっかりと抜き切る。
コンディション確認ができたらようやくオイルを抜いてきます。オイルには上抜きと下抜きがあって「なんやねんそれ」と言いたくなりますが、ざっくり言うと
- 上抜きはオイルレベルゲージの細い穴から”ジュースのようにストローで吸い出す”
- 下抜きはドレンボルトから”お風呂の栓を抜くように流し出す”
ということです。上抜きはめちゃくちゃ作業が簡単で楽なのがメリット、ただし下抜きのように最後までオイルを抜けないのがデメリットです。一方で下抜きは逆で、車種によっては車体下に潜らないと作業できないのがデメリットで、綺麗にオイルが抜けるのがメリットです。
それと車種(エンジンとオイルの取り回し構造)によっては上抜きじゃオイルをあまり抜けなかったり、そもそも最近の車はエンジンルーム内にオイルレベルゲージがないため、オイルを抜く用のチューブを差し込むことすらできないことが多いです。なので昔と違って上抜きが一般的で無くなってきていますし、つまり自分でオイル交換するハードルは高くなりました。でもローバーミニはどっちでも作業できます。ただしローバーミニのドレンボルトはマグネットでオイル内の鉄粉(スラッジ)を集める構造になっているので、掃除はして欲しいなと思います。
ちなみに僕は通勤で2ヶ月に1度はオイル交換していた頃、さすがに多頻度で大変なので2回に1回は上抜きオイル交換のみで済ましていました。上抜きでオイルを入れ替えた次の回は、ちゃんと下抜きでドレンボルトを外してオイルを抜き切りスラッジの掃除、それにオイルフィルターの交換もしていました。
もちろんディーラーやショップでは下抜きで交換してくれます。リフトがあるので車体の床下だろうと関係なく、何よりちゃんとオイルを抜ききることを重視してくれます。今は通勤に使ってないのでオイル交換頻度は半年に1度となっており、毎回下抜きでしっかりとオイルと抜き切って交換しています。後述しますが、実際には上抜き+下抜きで作業しています。
オイルは冬場の冷えた状態だと粘度が高くて抜き出しづらい。好みによるけど、僕の場合は軽くだけオイルを温めてから作業する。
それとオイルを抜く際ですが、走行直後の熱々の状態で作業するのは火傷の原因になるのでオススメしません。走った後なら概ね冷めるまで待ってから作業します。逆に冷間状態の作業は、夏であればそれなりにオイルも暖かいのでそのまま抜き始めます。それ以外の季節、特に冬はオイルが冷えて粘度が高く抜き出しづらいので暖気してから作業します。あまり熱くすると火傷するので、僕は水温計の針が動き出したぐらいまで暖気したら作業に入ります。
このあたりは人によって主張が違うので、あくまで僕の場合と考えてください。冷間時の方がオイルが重力で下に落ちているのでなるべく多くを抜き出せるという人もいれば、暖まっている方がオイル粘度が低くサラサラを流れ出てくるのでたくさん抜き出せるという人もいます。僕は「どーせローバーミニは下抜きしたって数リットルの古いオイルが車体に残っちゃうんだから、交換時に多少抜けなくても大差ない」と考えています。それよりも大事なのは多頻度で交換してあげることかなと思います。
で、オイルが抜ける状態になったらまずオイルレベルゲージの穴にオイルチェンジャーのチューブを突っ込みます。ローバーミニのレベルゲージ穴は細いのであまり太いチューブは入りません。僕の購入したオイルチェンジャーには2種類の太さのチューブがついていましたが、細い方を使っています。
ゆっくり差し込んでいくとどこかで先端がオイルパンの底にぶつかる感触があるので、そこでストップ。そしたらオイルチェンジャーのポンプをひたすら上下させてオイルを吸い出します。オイルチェンジャーというのはポンプを上下させてタンク内の空気を追い出し、その陰圧によってチューブがオイルを吸い出してくれるという仕組みです。
「さっき下抜きでオイル交換するって言ったじゃん!!」
と思うかもしれませんが、抜けるところまで上抜きでオイルを抜いてから、最後に下抜きで残った少量のオイルを抜きます。なんでかというと楽だからです。上抜きはオイルチェンジャーを差して待ってれば勝手にほとんどのオイルを抜いてくれますし、それをタンクからオイル廃棄ボックスに流し込むだけ。
それとローバーミニはMTで5L、ATだと多めに言って6Lぐらいオイルが抜けるので、それ全部を下抜き用のトレイで受け止めたくないからです。めちゃくちゃ広いトレイを用意するか、深さのある箱状のトレイじゃないと1回で全量が入りません。2回に分けると一度外したドレンボルトを途中で一回締めるので手も汚れれば、さらに床にこぼすリスクもあります。1回で大容量のオイルトレイで受け止めるにしても、持ち上げてオイル廃棄ボックスに移す際に重いしこぼすリスクが高いので、いつかは不幸なことになる気がします。高さがある頑丈なオイルトレイを使うならアンダーガードにぶつからないよう車体をジャッキアップしないといけません。
ということで作業の手間とこぼすリスクを考えたら、僕は上抜き+下抜きの形に落ち着きました。
次回オイルチェンジャーを使ってまず大半のオイルを上抜きしてしまい、その後ドレンボルトから残りのオイルを下抜きするという作業を進めます。