そういえば「オーバーヒートで冷却系統をメンテナンスするシリーズ」で書き忘れていた、最後の電動ファンのサーモセンサー(水温センサー型スイッチ)の交換。今回はラジエーターの下部に付いている電動ファンサーモスイッチ(水温を検知して通電させ、電動ファンを動かすセンサー)を交換します。オーバーヒートになったのは電動ファンが回らなかったからですが、その原因はこのサーモスイッチが経年劣化で動作不良を起こしたからです。本来水温が上がってくるとこのセンサーが温度を検知して通電し、ラジエーター脇の電動ファンが回ることによって冷却力を高めます。
ずっーとほとんど止まらずに走行しているような状態だとフロントグリルからの通気で十分に冷却できるので電動ファンは回りませんが、信号停止が多かったり渋滞にハマったりするとエンジンルームの温度が上がってファンが作動します。通常通りファンが作動する限りこれまで一度も水温が上がりすぎることはなかったのですが、中にはこのセンサー作動に加えて手動で電動ファンをオンにするスイッチを設置するミニもいますね。
前回までのサーモスイッチ周り交換の記事はこちら。
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なかなか入手しづらかったサーモスイッチ。元々付いていたのはVALEO製で、今回も同一品を探すけどあまり一般的ではないみたい。
電動ファンが正常作動しない原因はいくつかあるのですが、
- ラジエーターについているサーモスイッチが動作しない(今回はこれ)
- 配線が接触不良
- センサー配線と電動ファン電源配線のリレーが動作しない
- 電動ファンのモーターが動作しない
といった感じでしょうか。原因究明には1箇所ずつ通電を確認していくのがいいですが、今回はサーモスイッチに接続する2本のコネクタを直接接触させると通電して電動ファンが回ったのですぐにセンサーが原因だと判明しました。
ちなみに電動ファンのリレーはボンネットを開けた助手席前にあります。この黄色い立方体の箱がリレーで、たしかこの画像の左側が電動ファンのリレーだったと思います。まぁなんとなくですが接触不良を防ぐために2つともきれいに拭いて戻しておきました。
さて問題のサーモスイッチを交換してしまいましょう。
なんて簡単に言ったのですが、問題は元々ついていたものと同じ部品が見つからない!はずした部品の型番をもとにネットで色々探したのですがすぐには見つからず、ようやくミニ専門店で見つけたのが1つ税抜き2,680円でさらに別途送料・・・。そして見なきゃよかったと思うのが海外のAmazonでは数百円で売ってました(品切れだった)。結局ヤフオクで2,420円+送料で購入。
ちなみにつゆだく(うちのローバーミニ)についていたのはバレオ製の汎用ラジエーターファンスイッチで、ラドテックラジエーターの交換用ファンスイッチとして使える模様。平型2極端子の接続式で、スパナサイズ29mmのボルトがM22X1.5、そして肝心のスイッチがオンになる水温が88℃で79℃まで温度が下がるとスイッチがオフになります。
なんか一般的によく売っているローバーミニ用のサーモスイッチと構造が違うんですよね。色々検索したんですが、ボルト式で2本の平型端子になっているミニは少ないようです。もしかして純正ラジエーターから(ラドテック製に?)替えてるってこと?うーん、これはちょっとわかりませんでした。なので作業的にはほとんど共通ですがサーモスイッチの交換部品は参考にならないかもしれません。
一般的なインジェクションのサーモスイッチはこんな感じでネジになっているのではなく、クリップで固定するようになってます。購入前によく自分のミニを見てから購入した方が良いですね。
それとオーバーヒート対策として、スイッチの作動温度が少し低めの設定になっているサーモスイッチも売ってます。つまりそれだけ早いタイミングでファンが回り始めて冷却ができるということですね。ただし構造上、
- サーモスタットが開いて熱いクーラントがラジエータに流れ込む
- ラジエーター内のサーモスイッチが作動して冷却ファンが回りだす
- ラジエーター内でクーラントの温度が下がり、それがエンジンへ循環する
という順序なので、サーモスイッチの設定温度を変更するならサーモスタットの設定温度もセットで考えたほうがよさそうです。そもそもサーモスタットの動作温度が88℃にした場合、それ以上低い温度のクーラントはラジエーターに流れてこないということになります。正確にいうとサーモスタットを経由してラジエーターに流れ込んでくるクーラントは、ラジエーターの上部から入ってきます。それがラジエーター下部に設置されているサーモスイッチまで下がってくる間にラジエーターで(たとえ電動ファンが回っていなくても)冷却されているので、サーモスタット部分で88℃だったクーラントはサーモスイッチ部分ではもう少し温度が低くなります。なのでこのときサーモスイッチは何度で動作するのがいいんだろう、という考えで動作温度を決めます。
とはいえサーキットを走りこむようなミニはそうでしょうが、普通に街で乗るつゆだく(うちのローバーミニ)はサーモスタットとサーモスイッチ共に作動温度は88℃です。不必要に温度を下げて過冷却になってもエンジンの動作適温ではなくなり負担がかかるかもしれません。この辺りは人によって色々な考え方があるのでしょうが、僕はこれまで夏の渋滞でも不安になることはなかったので、これまでの設定をキープすることにしています。
サーモスイッチの取り付けと動作確認。動作テストでは問題があった時に備えてクーラントではなく水道水を入れて行った方がベター。
ということで新しいサーモスイッチを取り付けていきましょう。取り付け前に動作温度のテストをするのがベストですが、都合の良い道具がなかったのでパス。通電テスターを端子に繋いだサーモスイッチを水の入った小鍋に入れて、水温計で温度を測りながらゆっくりと火にかけて温めていきます。通電した時の温度を読むのと、火を消して温度が下がっていった時に通電が止まる温度が設計温度に近いか確認するという作業です。やれる方はどうぞ。
とりあえずこの交換部品が届くまでは冷却水ではなく水を入れていたので、それを抜き出します。あとはこのサーモスイッチを締め込むだけ。規定トルクは分かりませんが、不必要に強く締め込んでもラジエーターに負担がかかるだけなのである程度グッと力を入れて締め込んだらよしとします。
その後センサーに忘れずに端子を差し込んでください。これを差し忘れるとオーバーヒートします。笑
そしたら動作テストです。まだ問題があるかないか分からないので、ここで勢いよくクーラントを入れてしまうと動作不良が起きた時に新品クーラントを流し出さなきゃいけません。なのでいったん水を入れて、ラジエーターキャップを開けたまま暖気を開始します。メーターパネルで水温が上がってきたことを確認したら、ラジエーター内を覗き込みつつ(水温計があるならここに差し込んで水温を見れると良い)サーモスタットが開いてクーラントが流れ込んでくるのを待ちます。流れ込んでくるとラジエーター内の水面が波立つのでわかるはずです。
これでさらにラジエーター内の水温も上がってくるとサーモスイッチが作動して電動ファンが回るはずです。今回はこれで無事にファンが回りました!ということで修理は完了ですね。
それと改めてクーラント漏れがないかザッと目で確認しておきます。特にサーモスイッチは径の大きなボルトですし、漏れやすいところなのでよく確認しておきます。
これで修理自体は完了です。次回は水道水をクーラントに入れ替えてクーラントブースターを投入、それとついでニラジエーターキャップも新しいものに交換して作業終了としたいと思います。